第5話 クールな精霊のウンディーネ
-side ハッカ-
「ウンディーネ様〜!」
『ウンディーネ〜』
魔法の試験対策に夢中でウンディーネ様との遊びの約束をすっかり忘れていた俺はサラマンダー様に乗って一緒に湖に来た。
……。
………。
「あれ?いない」
『いや、微かにだが気配はする。どうせいじけて隠れているか寝てるかのどっちかだろう』
「そっかー」
仮にいじけてるとしたら、謝らないといけないかなー?お土産とかあるかなー?
あ!そうだ!
「ウンディーネ様!新しいおもちゃ持ってきたので一緒に遊んでください〜!」
ウンディーネ様はおもちゃに目がないのだ。今日の遊びもこの前遊んで面白かった水鉄砲をまたやりたいという理由で誘われた。
眠っているにしても、いじけているにしても、これなら食いつくだろう。
--バッシャアアアア!
突然、湖の中央から水飛沫が上がったかと思えば、ピカピカで美しい青色の鱗を持った巨大なドラゴン--リヴァイアサンの姿をしたウンディーネ様が鋭い牙を剥き出しにして出てくる。
『面白そう』
「……!!」
ウンディーネ様は目をギラギラさせてこちらを見てくる。ど迫力だ。
『んだよ!ウンディーネ!手間取らせやがって!起きてたんじゃねーか!』
『ん……?サラマンダー?』
--バチバチバチッ!
ウンディーネ様とサラマンダー様が睨み合っている。炎と水。俺様に対してクールと性格も正反対の二人だ。不仲というわけではないが、相性は悪い。
『寝てた……。ごめん』
--ズコッ
一触即発の空気だったのに急に呑気な雰囲気で謝るウンディーネ様。マイペースすぎるその発言に、俺とサラマンダー様は思わずズッコケる。
『んだよ……、調子狂わされるな……』
「良かった〜」
『ん……』
ホッとする俺たちとケロッとしているウンディーネ様。しばし、穏やかな時間が流れる。多分、ウンディーネ様が寝起きだからだろう。
『それで、新しいおもちゃは?』
「あ、そうだ!」
一人でいる時に良くやっている遊び。
土魔法で作った土台に、水魔法でコーティングしたウォータースライダーである。
「これに乗って遊ぶの」
『ゲッ……!俺はもう帰るわ』
「あ、そっか。ばいばーい」
『ああ、またな』
サラマンダー様は水が苦手なようなのでここで帰るみたいだ。
『使いやすそうな遊具だ。乗ってみる』
「ん!」
そういって、ウンディーネ様は人間の姿戻る。紺色の髪に好きとった水色の目。
髪は短くも長くもなく、背がスラリと高い美しい男性に変化した。
--バッシャーー!!
『やっふーー!!』
さっきまで、落ち着いた雰囲気だったウンディーネ様がウォータースライダーに乗ってはしゃいでいる。
「楽しい?」
『ああ。一緒にどうだ?』
「やるやる!やっふー!」
俺も一緒にウォータースライダーを楽しんだのだった。
結局水鉄砲では遊べなかったので、次こそは水鉄砲でも遊ぼうということで、また遊ぶ約束をして、その日はクタクタになって家に帰った。
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