アゲハ蝶にはなれない

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人は皆、産まれ落ちて世界に泣いている。

私はそんな中の1人だった。

幼虫から蛹になり自然と成虫になる。

私もそうだと思っていた。

でも、そんなことなかったのだ。

そんなうまく世界はできていなかった。

「ねぇ、美紗子聞いた？」

「え、聞いたよ！北川さんでしょ？」

「そう、退学だって！」

「じゃあ、あの噂ほんとだったんだ〜。」

教室に飛び交う噂話なんて大抵脚色されている。

＿私はそういうのが嫌いだった。そういう標的にされないよう蛹の姿でじっと羽化するときを待っていた。こうなるまでは。