霊界から落ちた、怪神の宝物
第29話 勘違い
アイは本屋に入るのだった。そしてラノベコーナーに向かい色んな作品の新作を目に通すのだった。
「(前の任務でお金も沢山貰えたし、今日は大人買いでもしようかな...)」
「あった!」
目的の本を見つけた瞬間、そこに手を伸ばすと、同じくその本を取ろうとした人の手とぶつかるのだった。
「?!!」
アイは常に周りを呪怪がいないかと警戒している。そんな中に、気配すら感知できなかった事に驚き、咄嗟にその人から距離を取るのだった。
「ご、ご、ご、ごめんなさい!」
少女は慌てながら、深々と頭を下げるのだった。
その少女は銀髪ストレートロングで、前髪で目がほぼ隠れているが、前髪の奥で灰色に輝く瞳をしている。
「(一般人?霊力や呪力を感じない...ただただ、ボクが感知出来なかっただけ?...はぁ、平和ボケのようね)」
「ごめん...驚かせちゃって」
「だだだだ、だ、いじょうぶ...です」
アイは目的の本を2冊手に取り、一冊を少女に渡すのだった。
「ほぇ?」
「これが欲しい?...ボクもこの作品が好き」
「...そ、そうなんだ...ですか」
「うん」
「...」
アイは何故か、目の前にいる少女が自分と似ていると思うのだった。そして2人は無言で立ち去るのであった。銀髪の少女は変えた本を見て嬉しそうに笑うのだ。
「...ふひひ、レイ君はもう読んだのかな?この1週間風邪で会えなかったけど...今日来たと思ったら休みなのが、悲しい...ん?あれ?子犬?」
銀髪の少女は人混みを避けながら、家に帰るのだった。だが帰り道に真っ黒な子犬を見かけるのだった。その頃、零夜は正座をして黒恵に説教をされていた。
「お、お、女の人と一つ屋根の下で暮らすなんて、は、破廉恥です!風紀を乱してます!」
黒恵は顔を赤くしてぶるぶると震えながら、風紀委員の様なセリフを放つ。零夜は少し黒恵を落ち着かせて、凛の事情を話すのだった。
「なるほど、話は分かりました。なら、私の家に泊まるのはどうですか?」
「嫌!アタシ、零夜の所が良い!」
「...」
零夜の背中から抱きつきながら隠れる凛を見て、黒恵はジッとジト目で零夜を見つめるのだった。
「流石に距離が近すぎません?」
「まぁ、数日も一緒に暮らしてたら仲良くなるだろう。はい!この話は終わり!飯を食おう!飯だ!」
「...はぁ、分かりました。もう、私からとやかく言う権利はないので、黙ります...ズルい、私だって一緒に暮らしたいのに」
「...え?」
「なんでも、ありません!」
最後に黒恵は小声で零夜と嫉妬の言葉を吐くのだった。零夜は聞き返そうとしたが、黒恵は何故か怒って頬を膨らませるのだった。
可愛い...てか、今俺と一緒に暮らしたいって言ったよな?まぁ、確かに女の子同士仲良くなりたいよな
だが、五感が鋭い零夜は黒恵の小声を聞き取れていたが、違う方向へと勘違いするのであった。
「まぁまぁ、ほら?九條さん置いて任務受けた事は謝るからさ。機嫌直して欲しいな?」
「別にそれは怒っていません...」
困ったな、そんなに凛と一緒に暮らしたいのか...
「なら、九條さんもお泊まりする?今日はもう遅いし...九條さんが良ければね」
19時を過ぎていた。零夜は凛と仲良くなりたいと、お泊まりを提案するが、黒恵は目をキラキラと輝かせてるのだった。
「良いのですか!」
「良いよ良いよ。どうせ、使ってない部屋もあるし、みんないた方が楽しいだろ?」
これで機嫌直してくれると良いな。奏もたまに良く分からない所で拗ねる時あるしな...やはり、女心って難しいな
「(神楽沙君とお泊まり...どうしましょう、ニヤニヤしすぎて、気持ち悪い女と思われていませんよね?)」
黒恵は自分がニヤニヤしている事を悟られない様に、口元を両手で隠すのだった。零夜はその光景を見て凛とお泊まりが出来たことに、嬉しそうに笑っていると勘違いするのであった。
鬼に呪われた陰陽師〜一度全てを失った少年の物語 @chan-yuu
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