第四話 魔術式 展開

「魔術の使い方ァ?」


「そんなもん、簡単、簡単、頭に浮かぶ『軌跡』を描けばいいだけよ」


この世界に来てから初めての朝、朝ごはんを作っている時に、氷華が起きてきた


だから『魔術』その使い方について、聞いてみた


すると、よくある天才みたいな返し方をしてきた、クソウザイ


「その軌跡って何なんですか?」


「ん?お主、軌跡を知らんのか、うーむ、見た感じ」


「いや、まぁいいか、では、軌跡を実体化する方法を教えようかの」


「軌跡っていうのはの大層な言葉を使っておるが、端的に言うと、自身が想像できる容量を指すのじゃ、例えば、そうじゃのう、頭で星を描いてみよ」


星を描け?想像しろという事か?まぁ想像してみるか


普通に星型を想像する、そして、頭に星型が浮かぶ


「できました、けど」


「それが、一番簡単な魔術式、壱式のベースとなるものじゃ」


「意外と簡単だった、そんな顔をしておるのぉ、確かにこれは簡単じゃ、ほぼ暗記じゃの、じゃが、弐式だと話が変わる、その星型を立体にするんじゃ」


「交差と言った方が分かりやすいか、二つ魔術式を合わせる、それが弐式じゃ」


「弐式はのぉ、できる人とできない人が多いんじゃが」


「まぁやり方を教えると、壱式を弐つ描き、一つだけ立体的に回す」


そう言われ、星型を二つ思い浮かべ、立体的に回す


表現できない図形それが出来上がる、言葉では表現しがたい形が


「まぁこれはのぉ、想像力というかなんというか、生来の本質なんじゃよ」


「お主はできるようじゃが、できない奴が多い」


なるほど、壱式が平面、弐式からは、立体で想像するという事か


難しいな、意外と、頭で複雑な立体を作る


今は星型だからどちらも余裕にできたが、これが複雑な図形となると


無理だ、こういうの苦手すぎる


「ほれ、この図形を頭に浮かべろ」


氷華が紙に描いた図形を見せてくる、これが魔術式か


いろんな形が混ざっていてとても複雑だ


だが、紙に書かれていれば余裕になる


「思い浮かべたようじゃの、じゃ次は詠唱じゃ」


「その術の名は魔術壱式 燐煌烈火リンコウレッカ


「魔術壱式 燐煌烈火リンコウレッカ


俺がそう唱えると、手のひらの上に炎が浮かぶ


「それは自由に操れる炎、じゃ、基本炎使いはその技に収束する」


氷華にそう言われ、適当に炎を操ってみる


自分の周りを飛ばしてみたり、大きくしたり、小さくしたり


「いい感じじゃの、さて次は手を銃の形にして、妾に炎を放ってみよ」


「え?」


「なんじゃ?はよやってみい、単調な技じゃが、かなり使えるぞ?」


いやいやいや、そこじゃない、そこじゃない、妾に撃て?攻撃しろという事か?


「え?いいんですか?炎ですよね?これ」


「良いっていっとるじゃろが、はよ撃たんかい」


いや、良いって言われてもさぁ気持ち的に、もっと別の的を用意してくれよ


「はよせい、面倒くさいぞ」


こちらを煽るように、自分の首の辺りを指で指す


待たせるのも、ビビるのも、それはそれで男じゃないか


覚悟を決め、手で銃の形を作り、氷華に向ける


「ちなみにその技の名は撃銃 エン、じゃ」


氷華の方を見て、狙いを定める


そして、炎を全て指先に集中させる


「撃銃 エン


炎が指先から、氷華に向かって、轟音を立てながら


走る、そして、着弾する、氷華に


その直前、氷華のつぶやきが聞こえる


「魔術壱式 水流籠痲スイリュウカゴメ


爆風と共に、火花が散る、煙が消えると


まったく傷ついてない、無傷の氷華が出てくる


その周りには、水が線状になり、檻となって、氷華を取り囲んでいる


ドヤ!という言葉が氷華の表情から伝わる


とてつもなくウザい、だが、魔術の何たるか、それを理解できた気がした

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異世界から来た僕が世界を滅ぼす事を、君はまだ知らない 孤宵 @musubime_koyoi

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