熱田神宮と歴史・伝説・言い伝え

雨宮 徹

熱田神宮を巡って

 今回は名古屋市にある熱田神宮について語ります。


 熱田神宮。それは由緒正しい神社の一つ。そんなこともあり、三が日は初詣で人混みがすごい。熱田神宮には数々の魅力があります。個人的には、人が少ない時にゆっくりと見てまわるのをおすすめします。



 では、どこを見るべきか。入口から順を追って列挙します。



 まずは、正門。その由緒の正しさと長い歴史を感じさせる立派な門です。アクセス的には名鉄神宮駅からは遠いですが、やはりここから入るのがおすすめ。



 真っ直ぐ進むと左手に見えるのが「宮きしめん」。「名古屋人はなににでも味噌つけるんでしょ」と言われますが、そんなことはありません。きしめんはうどんとは違い薄く幅広いです。一度食べればその独特の触感に病みつきになること間違いなし!



 少し先にあるのが「剣の宝庫 草薙館」。2021年にできたばかりです。中はびっしりと刀が並んでいます。刀好きにおすすめのスポット。



 さらに進んで右手に見えるのが昔からある「文化殿(宝物館)」。こちらは由緒ある品々が約6000点収蔵されています。こちらも見ごたえあり。



 いよいよ本宮、と思いきや、その手前にある塀を素通りしてはもったいない! その塀の名は「信長塀」。その名のとおり、織田信長が桶狭間の戦いに勝ったお礼に奉納したものです。歴史マニアは必見。熱田神宮の歴史の長さを感じさせるものの一つです。



 今度こそ本宮、と行きたいのですが、ここで熱田神宮周辺の伝説・言い伝えに触れましょう。



 熱田神宮でお守りを授かると、小さな紙が入っています。面白いことが書いてあります。「熱田神宮は不老不死の蓬莱島との言い伝えもあります」。ざっくりこんな感じです。蓬莱伝説は日本全国にありますが、熱田神宮もそうなのです。

 

 遠い昔は熱田神宮の少し前までが海でした。その証拠に、東海道唯一の海路である「七里の渡し」があります。熱田神宮は熱田台地の最南端だったからです。


 さて、なぜ熱田が蓬莱伝説と関係があるのか。ここからは私の見解ですが、海沿いにあったからでしょう。本来の蓬莱は朝鮮半島の東隣の中国の半島を指しています。こちらと同じで船から熱田台地を見ると山のように見えたのでしょう。


 名古屋で蓬莱といえば、そう、うなぎで有名な「あつた蓬莱軒」。こちらも蓬莱伝説に由来があるそうです。お参りのついでにどうぞ。



 そんな熱田神宮ですが、まだまだ伝説・言い伝えがあります。



 本宮の裏手をぐるっと一周細い道が通っているのですが、道中に「清水社」があります。この社の裏手にある湧水は眼や肌に良いという信仰があります。水の中央にある石塔に三度水をかけると願い事が叶うとされています。さて、ここにある石塔、実は楊貴妃の石塔との説もあるのです。なぜ熱田神宮にそんな伝説があるのでしょうか?


 唐の皇帝が日本を侵略しようとした時、神々が協議した結果、熱田大神が楊貴妃となり、たぶらかした、という話があるからでしょう。



 最後はヤマトタケルとの関係性。後で触れますが、熱田神宮には三種の神器の一つ・草薙の剣が祀られています。この草薙の剣、スサノオがヤマタノオロチ退治の際に、尻尾から見つけ出したものです。それが時代を経てヤマトタケルの手に渡ります。


 ヤマトタケルは草薙の剣を持っていたのですが、尾張国で結婚したミヤズヒメに預けて伊吹山の神と戦い、病にかかります。その後、死に際に白鳥となって飛び去ります。その白鳥が降り立ったとされる地の一つが、熱田神宮周辺にある「白鳥古墳」です。



 さて、最後はいよいよ本宮です。こちらの本宮は先にも述べたように草薙の剣が祀られています。そして、祭神は熱田大神。今まで述べてきた伝説を知ったあとでは、見方が大きく違うでしょう。本宮は伊勢神宮と同じ神明造です。



 どうでしたか。熱田神宮の魅力が多くの人に伝われば幸いです。

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熱田神宮と歴史・伝説・言い伝え 雨宮 徹 @AmemiyaTooru1993

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