主人公 

 暗い暗い世界。

 だが、それが何だと言うのか。


「……ふふっ、見える」


 それでも、その闇が全てに彩りを与えるかの如く、僕の影法師は何もかもを見通し続けている。

 ならば、


「は、はは」


 笑みが漏れる。


「はっはっはっはっはっはっはっはッ!」


 ひとしきり吐いて、吐いて、吐いて。

 もう胃の中がからっぽになるどころか、己の中の水分までもが全て消えてしまったかと錯覚するほどに何もかもを吐き捨てた後に。

 僕は笑う。

 僕は哂う。

 僕は嗤う。


「はっはっはっはっはっはっはっはッ!」


 何が変わると言うのか。

 何も変わらないではないか。

 こんなところで惨めに蹲っていたとしても。

 僕のやることなど。

 僕が欲を出した時点で決まっているではないか。

 アンヘルにも、ミュートス第二王女にも、アンバーにも、レイナにも、セーラにも、ルスにも、アルベルトにも、ダスクにも。

 己が関わったありとあらゆる人をすべて捻じ曲げてしまった代わりに。

 ズレてしまった世界の代わりに。

 僕が、僕が、僕が、

 何も変わらない。爺やを殺してしまった時から。あの時からずっと目の前にあった。それを僕という愚か者が目を背けてしまっていただけだ。

 ずっと、決まっていた。


「僕が、主人公になる」


 暗い暗い部屋。

 小さく、冷たい部屋で一人、僕は覚悟を決めるのであった。


「あぁ───ここから、始まるのだ。僕を主人公とした物語が」






 あとがき

 

 これで本作は正式に完結となります。

 ここまでご愛読いただきありがとうござました。


 それと、この後にサポーター限定近況ノートの方にて本作を書く上で事前に作っていたプロットを掲載しようと思っています。

 あくまでギフトを送っていただけた方限定での掲載とはなりますが、興味のある方は自分の方へとぜひ、ギフトを送って閲覧いただけると幸いです。

 もらえたギフトの数によって運営さまから送られるトロフィーの獲得を自分は目指しておりますので、ぜひ……よろしくお願いします。

 

 また、自分は他にも小説を連載しております、自分の小説を面白いと思っていただければその他の作品もご覧になっていただけると幸いです。


『悪役貴族は覇王たるか~悪役貴族に転生したので、傲慢かつ強欲に主人公の武も可愛いヒロインもすべてを手に入れようと思います~』

https://kakuyomu.jp/works/16818023213143576237


『最強の悪役貴族は推しを助けたい!~前世の知識を使って世界最強になった僕は死ぬ運命の悲壮的な自分の推しであるヒロインを助けようと思……って、あれ?主人公と結ばれて幸せになる推しがこちらに来るのだけど~』

https://kakuyomu.jp/works/16818023212739891540


『異世界の支配者にっ!~それっぽく活動して悦に浸っていたら、自分が過去に助けたヤンデレ美処女たちによって勘違いでどんどん話が進んでいた件~』

https://kakuyomu.jp/works/16818023212740381967


 また再び皆さんと出会える日があることを願っています。

 それでは、また。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

悪役貴族として転生したけど、ゲームの推しとラブコメしたい!~ただモテたいがために心を入れ替えて努力していただけなのに何故か周りか聖人君主として崇められるようになったのですが~ リヒト @ninnjyasuraimu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ