異世界帰還者たちの後日談。数多の未練/やり直しの果てへ。

古今東西、現世とは違う異世界にいった英雄が元の世界に戻ってくるという、いわゆる「異世界帰り」の物語は数多く存在します。現代において多くのWeb小説やライトノベルでも見られ、人々に親しまれ、その力を持って帰ってきてハーレムを築いたり、チートで無双したりするというパターンが多いかと思います。

主人公、凛藤明日葉(以下アスハ)は異世界から帰還し、同じ異世界帰還者であるリリィとツムギが作った「異世界帰宅部」に入部して異世界で得た能力で現実世界を守るという物語。

そんな彼らだったが、自分たちと同じ異世界帰還者たちによる暴走によって脅かされていて、同時に自分たちも異世界でのやり残しや未練、そして葛藤や苦悩に悩殺することになる。一度、異世界での人生を大なり小なり終えたが故に苦しみ、本質的に居場所のない異世界帰還者たちの姿は悩ましく、察するに余りあるものかもしれない。

物語のテンポと展開もよく、敵味方問わず突き付けられる帰還したが故に生じた大きな矛盾に悩まされる帰還者たちの姿は個人的に良いと感じました。それだけに敵対する異世界帰還者たちの野望や目的などへのクローズアップがもっと欲しいと思いました。それ以外は特に悪いと思うような所はないと思います。


続いてしまった物語と未練。抱え続ける呪いのようなやり残し。

多くの葛藤。多くの嘆きの交差の果てに、異世界帰還者たちの物語の終わりを目指す物語。