私はヴィーガン!
月猫ひろ
始まり
実際語ろうと思う程には、人生を塗り替える出来事ではあった。
しかし今にして思えば、きっかけは些細な偶然でしかなかったかと思う。
体調が悪かったとか生理が早めに始まっていたとか。
重大な事ではあったけど、特別な事ではなかった。
私は晩御飯を食べている時に、急に吐いてしまったのだ。
口にしていたソーセージが男○器みたいだなと思ったら、それまでに咀嚼したものが一気に喉をせり上がってきた。
喉奥に射○される逆回しのような感触。これを自由にできるのなら、それは傲慢にもなるかと感じながら、惨めに吐き続けた。
カレーの中に戻してしまったので、ルーと吐瀉物が混じり合って見てられない色になる。
汚物が飛び散って、服や机を汚していった。
私の泣き声と母親の怒号が飛び交い、リビングは地獄の様相になる。
自分から生まれたくせに臭いが不快に溜まり、気分が一気に沈み込んだ。
それがきっと始まりの日だった。
次の日はハンバーグを食べようとしたけど、全く食欲がわかなかった。
その次の日はつみれを目にしただけで吐いてしまった。
なんだかニワトリを生きたまま押し潰して、すり潰して、こね回して焼き上げた気味の悪さを感じたのだ。
いや実際に何かを訴えかける眼球だった。
それは間違いなかったと、今となっても言い切れる。
私はヴィーガン! 月猫ひろ @thukineko
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。私はヴィーガン!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます