アカリとシンゴくん

ハマハマ

朱莉と慎吾くん

 慎吾くんは大学二年生。

 背も高くてね、朱莉アカリに優しくてね、何よりサンバ踊らない方のマツケン似のイケメンなんだ。


 慎吾くんってば朱莉のことが好き過ぎてさ、この何日か学校も行ってない悪い子なの。

 この辺りじゃ一番か二番の国立大だからさ、アカリとしてはちゃんと行ってちゃんと卒業してから好き好き言ってくれたら良いのにな、って思ってるんだけど……


 でもしょうがないよね!

 朱莉が可愛すぎるんだもんね!


「ア……――アカ――リ……」


 ほら、言ったばっかで慎吾くんが朱莉のこと呼んでるの! 愛されてるなぁ朱莉!


「す……すまない……け、ど、早く、お願いだ! もう僕は――!」


 もう、慎吾くんってば。

 ほんとなんだから!


 朱莉まだ十歳の小学五年生なんだよ?

 ホントはこんなの良くないんだからね?


 そうは言っても朱莉ももう我慢できないもん。慎吾くんのお願い聞いてあ・げ・る♡


 慎吾くんの部屋のベッドの上、うずくまって頭を抱えて唸る慎吾くん。

 彼の頭をツンツン指でつついてさ、こっちを向かせるの。


 期待が籠った視線で朱莉を見つめてくる慎吾くん。ほんとイケメン♡


「良いよ慎吾くん。


「アカリ――!」

「きゃっ――」


 あは、押し倒されちゃった♡

 朱莉まだ小五なのに。もう、慎吾くんったら!


 でもね。キスされる訳でも胸を触られる訳でもないの。

 慎吾くんはシャツ脱いで、仰向けの朱莉の上で体を差し出すだけ。


 ホントはね、朱莉だってのに興味あるんだよ。せめてキスぐらい――って思うんだけど……


 でもダメ。

 朱莉ももう我慢できない。


 慎吾くんの肌をあちこち触って場所を決める。今日は柔らかい脇腹にしちゃお。あーんしたお口で慎吾くんのお腹にかぷり。

 びくん、って体を跳ねさせる慎吾くんが可愛いからね、八重歯つき刺すときって好きなんだ。


 八重歯で開けた穴から慎吾くんの赤い液体を吸い出すとね、最初は少し苦しそうなんだよ。

 穴空いてるからもちろん痛いんだろうけど、じゅるじゅる音たてて吸ってくとね、段々と気持ちよさそうな声になってくんだ。


 『う、うぅぅ』から、『はぁ、あぁぁ』みたいにね。


 朱莉はに血を吸われたコトなんてないからどんな感じか分かんないけどさ。


「あ――ぁあっ!」


 最後に強め、ぢゅっ! ってひと吸い。

 慎吾くんも嬉しそうな声と、またビクッと体を跳ねさせる。

 朱莉はこの最後のひと口が一番美味しい気がするんだけど、吸われる慎吾くんもそうなのかな。


 慎吾くんのお腹から口を離すと、どさりと慎吾くんの体が降ってくる。わわわ、男の人の肌が朱莉の顔に乗ってる!


 もぞもぞ這って抜け出して、そのままずりずりベッドから降りる。


 絶対ダメな絵ヅラだった!

 こんなの慎吾くんが捕まっちゃうよ!


「ほら慎吾くん。お腹、こっち向けて」


 ぺたん、とお腹にバンソーコー。

 ここまでやって朱莉のは終了なんだからね。


「あぁ、いつも悪いね朱莉ちゃん。助かったよ」



 …………あーん!

 もういつもの冷静な慎吾くんに戻っちゃった!

 もっと恋人ごっこしたいのにー!



 っていうのもね。

 お隣に住む慎吾くんは月に一度、朱莉か朱莉のパパに血を吸われなきゃダメなんだ。

 ホントはママでも良いけどパパがそれはダメって言うの。


 パパ、ママのこと大好きだから。



「ごめんね朱莉ちゃん。来月も頃連絡するから。悪いけどよろしくね」


 慎吾くんは悪魔の血がほんのちょっとだけ入ってて。

 満月の頃にその血が暴れちゃう。


 パパが単身赴任でいない間、慎吾くんの治療を任されてるのが朱莉ってわけ。


 だからパパが帰ってくるまでに!

 慎吾くんを朱莉に惚れさせてやるんだから!


 って思って頑張ってはいるんだけど――


「朱莉ちゃんコレ。好きだったよね」

 慎吾くんから手渡されたのはいちご味のチョコレート。


 ――もう! 子供扱いしないでよ!


 とは思うけどニコニコ受け取っちゃう。

 まだ小五だもんしょうがないよね!

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