第3話 今後の話し合い


驚きで固まるベルゼブルを眺めているルシフェル。


(そう言えば…俺って転生する時に神様とか女神様に会ってないな…よく転生系の小説だと、どちらかに会うんだけど……使命とかないのかな……?)


「ルシフェル様…そのお力を使えば公爵家をお継になる事も可能でしょう…」

ベルゼブルの言葉を遮り

「ベル爺には悪いが公爵家の家督に興味はない。俺は冒険者になろうと思う」


(せっかく異世界に転生できたんだ…こんなボロボロの王国の貴族に興味はない…前世は忙しくて一度も旅行に行ったことがなかった…今世は自由に生きよう…世界をのんびり見て周ろう…)


「……承知いたしました。このベルゼブルもルシフェル様にお供いたします」

ベルゼブルの言葉に驚くルシフェル。

「驚いておられますな…ルシフェル様。亡きマリーナ様に…くれぐれも頼むと仰せつかっております。自由に生きてほしいと……」

「母上が……」

(記憶にない今世の母かぁ……それでも自分のことを心配してくれていたのか…)

「今思えば…公爵殿のご気性を危惧していたのでしょうな……」

(ベル爺は父親を認めていない…だから『さま』ではなく『殿』と呼んでいる)


「現状…次期公爵家の家督争いには一部王家が介入している……王家の介入がなければ、俺も公爵家の家督を継ぐべく戦ったが……」


「ルシフェル様が家督を求め行動を起こせば、エリーナ夫人はご実家と王家を巻き込みましょうな…」


(現状…表立って王家は家督争いに介入していないが……家督争いに勝っても…父親と継母の王都での贅沢で優雅な生活を維持するために、領地はボロボロの状態で貧乏くじを引くようなものだな…王家にも『理不尽に』睨まれるだろうしな……)


「ベル爺……ドラグニアの家督は……アホ兄に呉れて遣る…家督争いに勝利しても手に入るのはボロボロの疲弊しきった領地とバカ親の借金と王家の恨み……俺は貧乏くじを引くつもりはない……それに信用できる部下はベルゼブルお前一人しかいない……」


(ベル爺以外の者は父親の実家の息が掛かった者、公爵夫人の実家の者、王家の指示を受け公爵家に使える者しかいない…俺に付く側の人間は徹底的に排除されているな……)


ルシフェルの言葉を受け…沈痛な面持ちをするベルゼブル


「ベル爺、明日…冒険者ギルドに登録に行く」

「承知いたしました」

「近いうちに領地を出て先ずは帝国に向かう…しばらくの間、帝国辺境で魔物を狩ってレベルを上げる。」


ベルゼブルは無言で頷いた。


「ベル爺、王都の公爵邸に居る父に俺の継承権放棄の手紙を送っといてくれ。五日以内に領地を出て行くから、その代わりに屋敷に有る馬車と馬二頭に路銀を貰っていくと父に伝えといてくれ……」


(小心者の父は了承するだろう…問題なのはエリーナ夫人だな。先ず暗殺者を送って来るだろうな…あの女は世間体をやたらと気にするからなぁ~王都の屋敷や領地で死なれるのは嫌だが…外に出たら俺の命を狙ってきそうだな……)


ベルゼブルが再び無言で頷いた。


(ベル爺って…昔から無口なんだよなぁ~)


「ベル爺、用件は以上だよ。夜分に呼び出してすまなかった」

(ベル爺に鑑定を使ってみるかな)

「ルシフェル様、お気になさらずに…いつでも爺をお呼びください。それでは失礼します」


ベルゼブルはルシフェルにお辞儀をして退室していった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【名前】ベルゼブル

【種族】人族

【性別】男

【身分】公爵家・執事

【年齢】60

【レベル】72

【スタミナ】B

【魔力】D

【ライフ】1440/1440

【体調】健康

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【スキル】

料理・レベル2

剣術・レベル3

儀礼・レベル5

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【特殊スキル】

なし

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



(ベルゼブルはスキルを三つも持っているのか…確か前世の記憶を思い出す前に読んだ本にはスキル持ちは少ないって書いてあったよな……明日街に出て多くの人に鑑定を使ってみよう…)





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

異世界冒険記 毛根死滅丸 @akiaki0708

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ