第5話 一緒にお風呂!?

 ソワソワしながら待っていたら、顔を真っ赤にした如月さんが戻ってきた。


「あの……ちゃんと出来た?」

「……うん。多分」


 如月さんが目をいっさい合わせてくれずに返事を返す。

 ……もしかして見られちゃったのかな? でもそんなこと聞けないし。

 ってか僕も……おトイレにいずれは行くんだよね?


 ———あわわっ、想像できないよ!


 僕たちは無言のままソファーに座り直した。

 さっきはすぐ横に座っていたんだけど、今はちょっと距離を空けて座っている。


「ぼっ、僕……夕食の料理作るね!」


 この空気に耐えきれなくなり僕は立ち上がってキッチンに向かう。

 さっき買ってきた材料で、夕食を作ってしまおうかと思って。

 こんな大きなキッチンを使うのは初めてだから、ちょっと緊張してしまう。


 如月さんのリクエストで夕食は唐揚げ。

 ふふふ、唐揚げにはこだわりがあるからね。めちゃくちゃ美味しい唐揚げをご馳走してあげよう。

 唐揚げを特製だれに漬け込んでいる間に、付け合わせのサラダを作っとこうかな。

 ジャガイモを茹でてポテトサラダを作る。

 あとは唐揚げを揚げるだけ。


 唐揚げを揚げていたら気になったのか如月さんが覗きに来た。


「ん、いい感じにカリッと揚ったね」

「美味しそ……」

「ふふ、味見する?」

「うん!」


 僕は唐揚げを一つお皿に乗せて渡す。


「んん〜♡めっちゃおいし」


 如月さんが顔を破顔させ美味しそうに唐揚げを食べている。

 僕が作ったものを美味しそうに食べてる姿を見るの本当に好き。


「口にあってよかった」

「合うどころか。今まで食べた中で一番美味しい! はぁ……幸せやぁ」


 少し興奮気味に唐揚げについて話す如月さんを見て、さっきの緊張感がなくなった。


「じゃあ少し早いけど、夜ご飯にする?」

「うん!」


 お皿に唐揚げとポテトサラダを盛り付けテーブルに並べていく。

 それをキラキラした目で如月さんが見ている。

 その姿は見ていて可愛い。そんなことを僕が言うのはおこがましいんだけど。


「いただきまーす」

「はいどうぞ」


 如月さんが食べるたびに「ん〜♡」っと破顔する。

 その顔を見ると、嬉しくて僕まで幸せになってしまう。

 美味しい時の顔は最高だね。


 僕が癒されていた時。


「ねぇねぇ、今気付いたんやけど、お風呂って……どうするの?」


 お腹いっぱいになった如月さんが僕にそう言ってきた。


 確かに。それはそう「僕がこの体を洗うの!?」って動揺した。

 それは如月さんも同様なわけで。


「だから……それなら、お互いがさ洗う?」

「え? お互い?」

「そう、目隠しして見えないようにして、本来の体の持ち主が洗う」

「なるほど……っって、え?」


 ちょっと待って!?

 如月さん、とんでもないこと言い出してない?


 それって……僕を目隠しして、如月さんに体を洗ってもらうわけだよね?

 逆に……僕が洗うわけで。


「それは。でも……恥ずかしくない?」

「ほな、自分の体を……見られて……洗われていいん?」


 如月さんが顔を真っ赤にしてそういった。

 確かに……僕の体を如月さんが洗うことを想像したら……


「それは無理!」

「やろ?」

「……………うん」


 と言うわけでこの後。


 とんでもなく恥ずかしい洗いっこが始まるのだった。


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