第3話 バックパックの旅
最後のエピソードはバックパックの旅だ。何も事件は起きていないが、思い出を語ろうと思う。
友達とその友達で、隣国の隣国にバックパックの旅をする事になった。
バスで北上して隣国を越え、その上の国へ足を踏み入れる。
日本人の集団は私たちだけだった。ちなみの女二男三の比率だった気がするけど、色気もへったくれもない。
振り返って見ればある意味凄いと思う。
隣国の隣国に辿り着き、宿を探す。もちろんバックパッカーの宿で、男女別だ。私と友達は四人部屋で、二段ベッドの上を私が、下を友達が使った。ちなみにもう一つの二段ベッドにも女性が泊まっていたが顔も名前も覚えていない。二十数年前なので。
宿には屋上があり、椅子とテーブル。そこで酒を飲んだり食事を取ったりできた。私たちはカクテルか何かを飲んでいた気がする。
不意にタバコではない何か変な匂いがして、友達の友達が大麻だと言っていた。
勧められる事がなくてよかった。ちなみに友達の友達はアメリカに留学していた時に見たそうだ。使用していたのかは聞かなかった。
最初の夜が過ぎ、二日目。
私だけの事件が起きた。
共有スペースにタオルで隠すようにして干していた私のパンティが床に落ちていたのだ。
色々な人に見られて居た堪れなくなった私は、そのパンティを犠牲にした。
誰の下着だろうねっと他人のフリをしてしまった。
お陰でその日、私は必死に現地の下着売り場でパンティを購入する羽目になった。その時点で友達はあのパンティの持ち主が私である事に気づいたはずだけど、言わないでいてくれた。
隣国の隣国の旅は、それ以外ハプニングはなかった。
あえて言うならカレーが余りにも辛過ぎた事だろうか?
最後のエピソードはバックパックの旅にしてはつまらない話だろう。だけど平和な旅が一番だと私は思ってる。
私は異国でよい友達に恵まれたと思う。友達のお陰で沢山の思い出が出来た。
今はお互い結婚してバラバラになってしまったが、彼女は最高の友達だと思っている。
さて、このエッセイの締めに入るとしよう。
若気の過ちは今となってはいい思い出だ。
だけど、知らない男について行くのは自殺行為だ。一話目の経験、あれは冒険談として書くことはできないなあと思っている。
冒険談にできるのは、無事だった者だけであり、同じ経験をしながら、事件の被害者になった方もいるのだから。
冒険を誘うような事はしたくない。
若いうちは冒険したほうがいいとは言うけど、ほどほどに。
特に知らない男にはついていくな。
(おしまい)
異国での私の経験〜独身時代の若気の至り ありま氷炎 @arimahien
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