花魁

 京子がくれた煙草。これが美味いらしい。


 外人さんの文化が入ってきて、これが文明開化か。きらびやかしいものである。苦戦しつつ箱から出し、意味もなく掌に整列させる。


「こいつを一とする。一に対して、同じものを用意することをコピー、だったか。あと、これ。これもコピー。」

 箱に書かれた説明文をなぞる。細く滑らかで、爪紅に彩られた指は、箱に触れさすには勿体ない。


「んで、コピーっていう言葉を教えたあのお人がソース、だろう?ふふ、いやはや面白いものだねえ。」

 一本火をつけ、煙を吸い込んでみるもそれは不味かった。しかし、それもまた一興。

「…客かい。ああ、外人さん。いいよ、すぐにいくさ。」

 学でも身体でも、求めるものはすべて与え、それ以上の夢を見せる。


 残りの煙草と一緒に送られてきた手紙からは友人の勇ましいくも淑やかな足音が聞こえてきた。

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@onigirimann

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