昭和初期の新潟にタイムリープした現代(?)の女子高生二人の行く末は?!

誤ってフェリーから落ちた令和の女子高生ふたりが救われたのは、昭和13年の漁船だった。
タイムリープした女子高生たちは、警察署長の計らいで身を寄せることになった置屋で下働きとなる。諦観とバイタリティで順応していく彼女らの活写が瑞々しい。
一方でもうひとつの軸で織りなされるのは青年ふたりの物語。帝国陸軍に召集され中国大陸に渡るであろう彼らと女子高生たちは、新潟で行われた彼らの出征祝いの席で交差する。
太平洋戦争に転がっていく坂の鳥羽口に立つ大日本帝国。抗いがたいその流れに翻弄される四人の男女の運命は?

圧倒的歴史資料に裏付けられつつも平易な文章に置き換えられた物語の臨場感は、そこに生きているひとの感覚で読者に共有を迫ってくる。ある種の転生ファンタジーという愉しみ方で読むのも一興かもしれない。