第18話 天使

 悠一に遊びのことを話した夜、4人のグループを作り、そこで遊ぶ予定を立てていた。


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 時音「じゃあ今週末に行こうよ!」


 悠一「そうだね、みんな予定大丈夫?」


 時音が日にちを提案し、悠一がみんなの確認をとる。

 グループでは主にこの二人がしゃべっていた。

 時雨と雨音はその二人に便乗し返事をする。 

 そして遊ぶ日にちが決まった。


 悠一「で、どこ行く?皆行きたい場所とかある?」


 悠一がみんなに意見を求める。


 行きたい場所か。

 最初は奇抜なところでなくごく普通なところがいいよな。

 

 時雨「水族館なんてどうかな」


 時雨が場所を提案する。


 悠一「おーいいね」


 時音「いいね!行きたい!」


 雨音「いいよー」


 時雨の提案にみんなが賛成の意思を示す。

 その後集合時間を11時に決めてメールの会話が終わる。


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 ◇


 そして当日になり、時雨は家を出る。

 悠一と待ち合わせをして、歩いて駅に向かう。

 

 「あのさー、今日って用事でこれなくなったほうがよかった?」


 「いや、全然」


 「でも雨音さんと二人がよかったろ?」


 「まあそうだけど、いきなり二人はちょっと。だから君らも誘ったわけで」


 「そっか。まあ俺と時音で二人になる時間作ってあげるよ」


 「まあそれは助かるかも」


 雨音さんと二人の時間が作れるのは本当にありがたいな。

 ならもう少し服装を気にしたほうがよかったかな。


 時雨は黒ズボンで、白Tの上には黒のジャケットを羽織っていた。

 悠一は少しオーバーサイズのジーパンと水色のTシャツを着て、首にはネックレスをしていた。


 おしゃれのセンスは完敗だな。

 今度服買いに行くの付き合ってもらおう。


 そして、歩いているといつの間にか駅に着く。

 

 「じゃあ二人待つか、それで電車乗って水族館だな」


 「うん」


 現在時刻は10:55

 集合時間は11:00

 

 そろそろ来るかな。

 なんだか緊張してきた。

 あ、トイレ行きたくなってきたかも。

 

 そんなことを考えていると後ろから声が聞こえた。


 「お待たせ」


 とても透き通った声だった。

 それは今までも聞いたことのある声。

 だが決して飽きることのない声。

 美しい声。

 後ろを振り向くとデニムパンツに白いシャツを着た時音と白いワンピースを着たまさに天使のような姿をした雨音がいた。


 「ごめん待ったー?」


 「いや、俺らも今来たとこ」


 そんな定番な会話をしている時音と悠一をよそに、時雨は雨音さんに見とれていた。

 その美しい姿はとても言葉にできなかった。


 「時雨君どうしたー?雨音に見とれちゃったか」


 面白おかしそうに時音が小声で時雨に話しかける。


 「べ、別にそんなんじゃ」


 「じゃあなんで雨音のことすごい見てるのー?」


 「うるさいなー」


 笑いながらかわかってくる時音に対し、時雨は顔を赤く染めて恥ずかしがっていた。

 

 教室の時といい今日といい、時音さんにはかなわないな。

 見惚れてたこと雨音さんにはバレてないといいけど。


 そのまま4人は改札を通り電車に乗った。

 電車に揺れながら吊革に手を伸ばし4人は立つ。


 「そうだ、昼ご飯どうする?先食べちゃう?」


 「あー確かに、向こうつくの12時ぐらいだし、先食べたほうがいいかもな」


 時音と悠一が先導して方針を決めていく。


 「何食べるー?」


 「まあ向こうついたら決めればいいんじゃない?」


 「それもそうだね」


 「うん」


 昼食は向こうについてから決めるということになった。


 あれ、さっきから雨音さんあんましゃべってないな。

 どこか体調悪いのかな。

 いや、まさか遊びに行くのが本当は嫌だったりして。

 待て焦るな、そもそも雨音さんはそこまで話すタイプの人ではない。

 だけどもし、嫌がられてたら。


 少しの不安を抱えながら、時雨たちは水族館のある市へと着いた。

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雨上がりの君は世界で1番美しい あまみず/雨水 @clsepy

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