第三週~第四週② カクヨム運営公式も認めた傑作

熱狂度として★5が最高です。


「アウトサイダー・ミックス・シェイク」作者:志村麦 ★★★ ( https://kakuyomu.jp/works/16817330663917132797 )


・人類が滅んだ世界でたったふたりの少女のロードムービーです。端的に説明するとこのようなあらすじですが、文章のドライブが読ませると前々から評判でした。私個人はそこまで強く推せなかったのですが、その評価はカクヨム運営公式のレビューすら動かしました。カクヨムSFに突如現れた台風の目をぜひ目撃してみてください。



「【短編】天才たちの住む島」作者:結城 刹那 ★ ( https://kakuyomu.jp/works/16817330662629684486 )


・夜型人間には天才が多いという一センテンスを、夜型人間にふさわしい人工島を作るというイメージにまで押し広げた作品です。この作者の短編作品にはほんの少しの無理矢理感ある設定があり、その設定のうえで物語が進行します。ちょっとおかしい世界に触れたいならこれでしょう。日常から離れた視点、良いです。



「三十八万キロを越えて」作者:藍﨑藍 ★★★ ( https://kakuyomu.jp/works/16817330666063614836 )


・東西冷戦が終結しなかった世界線のお話です。つまり改変歴史ものというわけです。地球ではウィルスが流行し、地上での生活が困難になり、月への移住が計画される――――基本的なSFシナリオを押さえているのが良いと感じました。さらに、交信機スポットのアイデアがすばらしいです。月と地球の連絡を担う交信機でのやりとり、忘れられる者と覚えている者の対比、そうした終末世界のささやかな明かりが胸に迫ります。



「われ、山にむかいて、目を挙ぐ」作者:吉野玄冬 ★★★★★ ( https://kakuyomu.jp/works/16817330668808765316 )


・直感の領域を共有するシステム、FITSフィッツ。そのシステムを拒んでいるコミュニティの不安や疑問を解消する仕事、共歩敷衍官きょうほふえんかんの主人公の視点で始まります。神の仕業のような直感を先鋭化した未来では、よりよい生活が人間達を待っていました。ところがある災害によってその楽園が転覆します。ゴーギャンの言葉や芸術、聖書の言葉に彩られた本作は重厚な質感を持つ作品ですね。ゴーギャンの言葉を引くまでもなく、神の直感を失った人類はどこへ行くのでしょうか?



「幻生生物考」作者:ひらり ★★★★ ( https://kakuyomu.jp/works/16817330665673918619 )


・頭のない幻の生き物を巡る図鑑形式の作品です。図鑑という体裁なので注釈といった細部も図鑑そっくりに出来ています。短編にしておくのは勿体ないと感じました。何十ページもあったとしたら、時間をかけて目に穴が開くまで読み込みたい作品でした。それだけ奥深さとセンス・オブ・ワンダーに溢れた作品です。



「星空を眺めて、さようならを」作者:宮園瑛太 ★★ ( https://kakuyomu.jp/works/16817330668756739612 )


・ロボット執事のお話のようです。短編としては決して見通しに優れた作品だとは言えませんが、読み込むほどにじわりと伝わる良さがあります。あらすじを話すと逆に勿体ないと感じてしまう本作、読者の目で確かめてみてください。



「ねむるときこえ」作者:吉野茉莉 ★★★★★ ( https://kakuyomu.jp/works/16817330659248738018 )


・難病に冒された恋人、彼女を治療する方法が見つかるまでのあいだ、彼女はARグラスのむこうに彼女のイミテーションを用意していっしょに暮らすようになる――――不思議なお話としては群を抜いていました。どんなにAIのような学習装置に恋人を学習させても、イミテーションはその人らしさを獲得しても、完全には同じにはならないといったアイデンティティの問題を孕むお話の展開、そして思いもよらない結末、レベルがめちゃくちゃ高いと思いました。



「コウシン世」作者:一縷 望 ★★★ ( https://kakuyomu.jp/works/16817330660269592427 )


・不思議と奇妙さを併せ持った独特の世界に触れたいならば、この作品の右を出るものはないでしょう。この作品世界のキーワードは「変換」だと思いました。さまざまなものを交換して代替するイメージが大きな地上そのものを飲み込む圧巻のイメージは驚嘆の一言です。



「宇宙におひとりさま」作者:冷田和布 ★★★★ ( https://kakuyomu.jp/works/16817330651992797276 )


・人類が眠った巨大宇宙移民船でコールドスリープにつく人類たち。彼らの管理の仕事に就きながらも、生体アンドロイド「ロイド」はおひとりさまを満喫しようとしていたというあらすじです。読むほどに瞼の熱くなる伏線回収が素晴らしい作品です。おすすめします。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る