新釈グリム童話

武藤勇城

第1話 「赤ずきん」~ちょっと大人な~

 あるところに、可愛かわいおんながいました。

 いつもなずきんをかぶっているので、あかずきんちゃんとばれていました。


 おばあちゃんにたのまれて、あかずきんちゃんはもりへおはなをつみにきました。

 あかずきんちゃんが留守るすあいだに、わるいオオカミがおばあちゃんを丸飲まるのみにしてしまいました。


 あかずきんちゃんがいえかえると、オオカミはおばあちゃんのふりをして、ベッドでよこになっていました。

 あかずきんちゃんはベッドのなかのオオカミにいました。


「どうしてみみがそんなにとがっているの?」

「それはね、おまえこえがよくこえるようにだよ。」

「どうしてがそんなにおおきいの?」

「それはね、おまえがよくえるようにだよ。」

「どうしてくちがそんなにおおきいの?」

「それはね、おまえべるためだよ!」


 オオカミはあかずきんちゃんを丸飲まるのみにしようとしました。

 でも、なにかおかしいとおもっていたあかずきんちゃんは、オオカミをゆうわくしました。


わたしべるの?」

「そうだが?」

はじめてだから、やさしくしてね。」


 こうしてオオカミとあかずきんちゃんはむすばれ、仲良なかよらしましたとさ。

 めでたし、めでたし。


 え、おばあちゃん?

 オオカミのおなかをハサミでるとてくるって?

 そんなわけないやろ。

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