第4話

「ありがとう、少年。あたしのことを信じてくれたんだね。いい子だ」


 またもやお姉さんに褒められてしまった。


「安心したらお腹が減ってしまったわ。チーズケーキとアールグレイを用意しなさい。もうすぐ三時のおやつが始まるわ」


 僕はすぐさま冷蔵庫の中を探した。でも、そう都合よくチーズケーキがあったりはしなかった。


 僕は恐る恐る外に出てみた。


 しかし、戦争中だと思っていた世界は、まったく何の変哲もなく、いつも通りの世界だった。誰も戦ってはいないし、砂埃もない。建物もきれいなものばかりだ。


 おかしいなぁ、と思いつつ、僕は商店街のケーキ屋さんに向かった。お姉さんは確かに戦争が始まると言った。そして僕もその景色を見たはずなのだけれど……。


 商店街に入ると、スーパーの前で足が止まった。ポケットをまさぐると、そこには一〇〇〇円札があった。


 そうだ。お母さんにおつかいを頼まれていたのだった。僕はようやく思い出す。牛乳、卵、それに食パン。


 僕はスーパーで買い物を済ませ、急いで家に帰った。


 家では、お母さんが掃除機をかけていた。


「おつかい、行ってきたよ」

「あら、ありがとう」


 買い物袋をテーブルに置くと、急いで二階へ向かった。


 自分の部屋のドアを開ける。


「ごめんなさい。チーズケーキ買えなくて―――」


 しかし、もうそこにお姉さんの姿はない。僕はガックリと肩を落とした。


「なぁんだ、ニセモノの神様だったのか」


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ニセモノの神様 美崎あらた @misaki_arata

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