女は複数の顔を持つ、というが、この物語の主人公・ヌイヴェルは高級娼婦であり、男爵夫人であり、魔女でもあり、その時々でふさわしい顔を見せている人物である。彼女の娼館を訪れる様々な客たちに楽園のひとときを味わってもらうために高い知性をそなえている。
そんな彼女は、長年のなじみ客の死に際して相続問題に巻き込まれる。亡くなった伯爵が、ヌイヴェルに遺産の半分を遺すという遺言書を書いていたからだ。相続人たちは当然激怒するが、ヌイヴェルは怯まない。それどころか、相続人たちの醜悪さ、犯した罪を逆手に取って鮮やかに対処していく。
感想:物語はヌイヴェルの一人称の語りで紡がれるが、その語り口が上品でありながら、妖艶さもあり、たまにかわいいところも覗いていて心地よい。
娼婦であるために時には生々しい性の事を述べることもあるが、不思議と彼女の表現は気品がある。美貌と才知と魔術で、陰謀渦巻く社交界を鮮やかに乗り越える様は読むものを心地よくしてくれる。まさに彼女は高級娼婦である。
オススメです💖
高級娼婦であるヌイヴェルが取る客は、上流階級の名士たちばかり。貴族はもちろん司祭までいる。最上の娼婦は料金も破格。その金額、平民ではとてもとても手が出ない。だが、その最上級の娼婦ヌイヴェルには秘密がある。彼女は特殊な能力を持つ「魔女」でもあるのだ。
そのヌイヴェルの一人称で淡々と語られる物語。優雅で、艶っぽく、ときに毒がある。望むと望まざるとにかかわらず、彼女が巻き込まれてゆく事件。
魔女の一人称の語り口がすごくいいです。柔らかいのにどこか毒があって。
権謀術数渦巻く宮廷の社交界。つぎつぎと現れる罠を華麗に掻い潜り、見事な反撃を仕掛けるヌイヴェルの智謀も爽快です。謎解きあり、ザマアあり、色っぽいシーンあり。手練手管で読者を楽しませる魔女は、まさに高級娼婦。
特に悪女を描かせたら天下一品の作者様。
読めばあなたも、この魔女に、天にも昇る気持ちにさせられること請け合いです。
まあた大丈夫じゃコメント...書いちゃう...かも、知れませんね(此奴どうにかしろ)
『その...下品なんですけど...性癖...ドストライク...な予感しかありません』(やめれ)
まだ4話しか読んでない癖してアレですが、恐らく見事なまでに全年齢対象をくぐり抜けつつも『(*゚∀゚*)ムッハー!』ってなってゆくんでしょうね。続きが楽しみですわ。
なう(2024/12/10 15:51:52)追記
娼婦という心も躰も癒す。その為、人の内面まで入ってゆく。
大変高尚でかつ面白い話と再確認させて頂きました。
僕の性癖に突き刺さったというのは、そんな意味合いも含んでると御理解ください。
実はとんでもない良作な気がして参りました。
何と言いましょうか、独特な雰囲気の作品です。
主人公であるヌイヴェルという女性は、状況に合わせて三つの顔を使い分ける魔性の女。
彼女の語り口調で話は進んでいきますが、その語りは妖艶そのものであり、同時に博識さも醸すほどに成熟。
まさに大人の女性。
ジャンルとしてはファンタジーですが、ヒューマンドラマとしてストーリー展開が色濃い。
ドロドロとした上流階級の人間関係を、ギャグ、シリアス、そして、陰惨な謀略、これらをうまくミックスさせた作品と言ったところでしょうか。
定型的なファンタジーには飽きたぜ、そんな人はこのちょっと変わった作品に目を通すのも悪くないかも!