第19話 底辺配信者、みんなと帰還する。
和歌奈さんのいる『閃光』ギルドに到着する。
そして、和歌奈さんの部屋を訪れる。
「まさか、2階層からS級モンスターが現れるなんて。裕哉くんを連れて行って正解だったよ」
「そうですね。アタシらだけじゃ全滅してた可能性がありましたから」
真面目な顔で話していたので「俺なんかいなくても全滅してないよ」という話の腰を折る言葉は飲み込む。
「今後については七海会長と話してみるよ。とりあえず今日は私の依頼を引き受けてくれてありがと。特に裕哉くんは私のギルドメンバーじゃないのに、引き受けてくれて助かったよ」
「いえ、これくらい問題ありませんよ。また困ったことがあればいつでも依頼してください」
「うん!さすが私の弟子だよ!」
和歌奈さんが真面目な顔から満面の笑みとなる。
どうやら真面目な話は終わったようだ。
「さて、裕哉くん!私からお願いがあるんだー!」
「お願いですか?」
「うん!今度、年に1回行われるギルド対抗戦があるんだよ!」
ギルド対抗戦とは、日本にあるギルドの中で1位を決めるイベントで、ダンジョン1階層を魔法で競技場や森などのステージへと変えて冒険者同士が戦うイベントだ。
その様子はドローン型のカメラにて生配信されており、誰でも見ることができるため、冒険者ではない視聴者からも人気の高いイベントとなっている。
「去年『閃光』は『牙狼』というギルドに負けて2位だったんだ」
『牙狼』とは日本にあるギルドの1つで、所属している冒険者の数が最も多く、実力者が多いギルドだ。
『日本で1番強いギルドは?』と聞かれたら全員が『牙狼』と答えるくらい日本で1番強いギルドだ。
「去年は『牙狼』に負けて悔しい思いをしたから、今年こそは『牙狼』に勝ちたいんだよ!そこで私の弟子である裕哉くんに『閃光』ギルドに所属してもらい、ギルド対抗戦に出場してもらいます!20歳以上の冒険者なら誰でも参加できるからね!」
このイベントは冒険者なら誰でも参加できるというわけではなく、20歳以上の冒険者という決まりがある。
そのため、昨年まで19歳だった俺は昨年のギルド対抗戦に参加できなかった。
今回のギルド対抗戦は20歳となったため参加しても大丈夫だが、俺は和歌奈さんのお願いを断ることにする。
「申し訳ありません。俺は雑魚モンスターしか倒せない冒険者です。嬉しいお誘いではありますが、しばらくは冒険者ギルドに所属せず、今みたいにのんびりと冒険者をしたいと思います」
俺は頭を下げて和歌奈さんのお願いを断る。
「そうなんだ……」
俺の発言を聞いて和歌奈さんが残念そうな顔をする。
しかし、すぐに笑顔となる。
「わかった!時々、私から裕哉くんに依頼をすることがあるかもしれないけど、その時は断らずに受けてくれると嬉しいな!」
「はい!俺でよければ引き受けます!」
師匠である和歌奈さんからのお願いなら優先的に引き受けようと思う。
「ありがと、裕哉くん!ってなわけで、今日はみんなお疲れ様!ゆっくり休んでね!」
とのことで和歌奈さんからの話が終わり、俺たちは和歌奈さんの部屋を出る。
「今日はありがとう、裕哉くん」
部屋から出ると、星野さんが感謝の言葉を言う。
「いえ、荷物持ちとして未熟な部分を星野さんたちに見せてしまいました。今度は完璧な荷物持ちをしてみますので、また一緒にダンジョンに潜りましょう!」
「いや、完璧な荷物持ちなんか目指さなくていいんだが……まぁ、いいか。また、機会があれば一緒にダンジョンに潜ろう!」
俺と星野さんは握手を交わし、俺は『閃光』ギルドを出て、美月と紗枝が待つ家を目指した。
【1章完結】
*****
ここまで【リメイク版】を読んでいただきありがとうございます。
ここから【2章 底辺配信者の日常】が始まり、原作と違ったストーリーとなります。
今後も読んでいただけると嬉しいです。
【リメイク版】「あれは空飛ぶトカゲだ」と言って瞬殺する底辺配信者、実はS級モンスターだったようで有名配信者に見つかりバズりにバズる。 昼寝部 @hirunebu
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