025 天才プラタと大商人

 可愛くて小さくて、まだ少女の彼女プラタ

 浅黒く綺麗な肌、ダークエルフの特徴の黒耳が、ピンと立っている。


 原作でプラタは元奴隷なのだが、実は裏設定がある。

 

 それは――。


「トランプは、室内、野外問わず、老若男女ができるゲームです。特筆すべきは、この軽さと持ち運びです。遠征はもちろん、馬車の中でもプレイが可能です」


 特注で用意した眼鏡をかけた小さなプラタが、髭を蓄えた大商人でありながら貴族のビルディ伯爵と対等に会話をしていた。

 彼女はIQがとても高い。

 だからこそ俺は、隣で執事として立っている。


 決してサボっているわけではない。これが一番勝率が高いと踏んだのだ。何度も言おう、サボっているわけではない。

 とはいえ、楽だが。


 実際、プラタの淀みないスラスラとした演説のようなセリフに、ビルディも驚いていた。

 人は見たいものを見る。まだ若いが、俺のような男を横に連れながら堂々としているだけでも有能だとわかるだろう。


 更にトランプが最高のゲームなのは既に元の世界でも周知されている事実。


「なるほど、確かにこれは優れているみたいだな」

「はい。また紙で出来ているので、大量生産が容易です。更にゲームしながら食べることが可能な、サンドイッチという商品も既に発売しており、こちらも輸入することができます。どうぞ、野菜マシマシにしておきました」

「ほう、これは片手で食べるのか。ふむ、なんだか恥ずかしいな」

「ガッツガッツに食べてもらっても構いません」


 流石だなと思っていたが、プラタは少しだけ頬に汗をかいていた。

 天才ではあるが、まだ子供だ。


 もちろんこれも強制はしていない。

 彼女が更に自由を得る為に選択してもらった。


 俺は、ポケットのハンカチーフと机に用意してもらっていたお水をサッと手渡す。

 ニコリと笑ったプラタの笑顔が、とても綺麗だった。


「美味しい、美味しいなこれは!」

「ええ、それにこの状態でトランプができるのです。良ければ一局」


 更にプラタは、サンドイッチを俺が伝える前に「こんな食べ物もあればいいですね」と叩きだした。

 それには驚いたが、リスとニアが作ってくれていたのですぐに用意することができたのだ。


「ぬおお、”魔王”を引いてしまったか……」

「うふふ、ビルディ伯爵はわかりやすいです」

「僭越ながら、私は上がりでございます(これ俺)」


 結局、ババ抜きを魔王抜きに改題し、いくつかのゲームをプレイした。

 伯爵はまるで子供のように叫び、笑い、そして怒った。


 俺が調子に乗りすぎて煽りすぎてしまい、一時期は商談の壊滅の危機に陥ったが、プラタが何とか収めてくれた。

 その時の彼女の睨みつけた眼は、2度と忘れることはないだろう、ごめんなさい。


「いい商談をありがとう。またおって連絡しようプラタ。そして――執事のキミ、今度は負けないぞ」

「ありがとうございます。楽しみにしておりますわ」

「ひ、ひい。すみません」


 重厚な扉の外に出たあと、プラタに声をかける。


「流石だプラタ。ここまでとは思わなかっ――」

「よ、よかったああ……」


 すると、足をぺたん。

 全身の身体の力が抜けたかのようにしゃがみ込んだ。


 どうやら俺が思っていたよりも頑張っていたらしい。

 

 ……ああ。また俺の悪い癖だ。

 原作を知っているからとわかっている風になって、プラタを見ていなかった。


 いくら選択肢を与えているからといっても、プラタは少女だ。


「ありがとうな、よくやった」

「えへへ、頑張りました」


 頭をなでなでしてあげると、くしゃっと笑顔になった。

 だが立ち上がり、眼鏡をクイっとさせて――。


「でもブラック様、トランプで人を煽るのはやめてください」

「すみません」


 真面目に諭されるのだった。


  ◇


 後日、トランプの大量生産とサンドイッチの受注販売がスタートした。

 これにより安定した金額が得られることになる。


 ブラック軍団は、戦闘要員としてリスとニア、頭脳タイプのプラタと順調な基盤ができあがった。


 そして何よりも大切なものも手に入れた・・・・・


「す、凄いです」

「そうだろうリス」

「これが、私たちの……」

「ああ、カッコイイだろう」

「予定より遅れてしまいましたが、凄くいい物件ですね」

「日に日に賢くなってないか? プラタ」


 目の前には、家があった。

 外見はただの普通の一角。


 だがこれはアジト・・・だ。


 今までパン屋の狭いところで寝泊まりしていたが、これで安泰。


「さあ、仲間も増やすし、もっと潤わせていくぞ」

「「「はっ、ブラック様のままに」」」


 さて、おもしろくなってきたぜ。


  ――――――――――――――――


 このたび新連載を始めました。

 異世界ガイドマップというスキルを得た主人公が、クチコミや様々なスキルで旅をするお話です。

 今までの培った面白い部分が出すことができたらなと思います。


 良ければ見てほしいです! 何だったらフォローだけでも! いや☆だけでももらえませんか!? 一人の力が大きいのです(^^)/


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 よろしくお願いしますm(__)m。


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最強で最凶の悪役に転生した俺は、原作主人公の為に暗躍す 菊池 快晴@書籍化進行中 @Sanadakaisei

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