024 プラタとトランプ
Q:王都で人気のパン屋さんといえば?
A:ブラックのパン。略してブラパンだ。
今や2号店を出そうかという勢いだが、パンは利益がそこまで高いわけじゃない。
それにリスとニアは大忙し。
暗躍するための資金稼ぎは順調ではあるが、ここで一気に飛躍させたい。
そこで新メンバーである、プラタの出番だった。
「ブラック様、このトランプというのはなせ数字が13までなのですか?」
「わからない。でも、それでいいんだ」
「星とハート、ダイアはわかりますが、スペードってなんですか?」
「わからない。でもそれでいいんだ。――プラタ、考えるな。感じろ。大量生産すれば一攫千金間違い無いんだ」
「わ、わかりました!」
雑居ビルみたいな一部屋。
安宿の一室。
パン屋はスペースがほとんどなく、リスとニアが眠っている場所はそこまで大きく無いので、ここが制作現場となっていた。
俺は異世界転生者だ。
つまり知識がある。
だがここで問題なのは、俺ことエリオットはイケメンだが普通の頭ということだ。
冷蔵庫なんて作れないし、エアコンや洗濯機なんて作れない。
けど誰でも簡単なゲームは作れると思いついた。
それは、トランプだ。
とはいえまずは手作り。
そこで新人のプラタの出番だった。
彼女は以前、大会で一回戦で負けてしまった元奴隷だ。
原作で彼女は悲惨な目に遭い、そこでソフィアと出会う。
だがその時はすでに衰弱しており、助からない。
出会ったのも偶然でもなく、あらかじめくるのが分かっていた。
今回ももちろん選択肢を与えた。
プラタは、美味しいご飯が食べられるなら嬉しいと言ってくれたのである。
「これは何枚作るのですか?」
「ワンセット52枚だ。できれば10セットはが欲しい」
「じゅ、じゅうですか!?」
「ああ、だが断言する。これ一つで、プラタ、君は大金持ちになれる。美味しいパンは今でも食べ放題だが、ステーキも食べられるぞ」
「……が、がんばります! プラタ、ステーキ食べたいです!」
「おお、その調子だ。俺も食べたいぞステーキ!」
それから俺たちは、寝ずにトランプを作り続けた。
翌日、馬子にも衣装なスーツ姿に着替えた俺たちは、とある貴族屋敷の前に立っていた。
すでにアポは取り付けている。王都で一番有名と言ってもいい大金持ちだ。
「だ、大丈夫かな」
「信じろ。トランプを」
「そこはブラック様じゃないんだ……」
「ああ。さていくぞ。プラタ様」
「は、はい! あ、違った。 い、いくよ!」
ちなみにプラタは天才発明家、俺は従者だ。
もちろん設定だが。
今後彼女は、名のあるゲームマスターとして有名になる(予定)。
俺は影の男、前に出ることは許されない。
トランプの知識は全て与えた。
さあ、ゲームスタートだ(トランプだけに)。
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