第6話:素敵なメリークリスマス。
季節は秋から冬へと・・・そして僕と音色ちゃんにとって初めての
クリスマス。
僕は音色ちゃんを誘ってアミューズメントパークのイルミネーションを
見に行った。
パークではクリスマス・ファンタジアって催しをやっていた。
僕たちは光のトンネルを抜けてメインのイルミネーションを見たり
歩いたりして光の世界を堪能した。
「悠ちゃん、綺麗だね・・・」
「ほんとだね・・・来てよかったね」
会場ではクリスマスソングなんかかっていてどの曲も聴いたことある
曲ばかりだった。
音色ちゃんも気に入った曲がかかったりするとテンションが上がって
いたようだった。
「クリスマスだよね」
「だね」
「この時期、天使はすっごく忙しいんだって」
「え?なんで?」
「クリスマスプレゼント配りに行くから」
「クリスマスプレゼントって普通サンタクロースが配るんじゃないの?」
「それに本当は親が寝てる子供の枕元にプレゼント置いていくんだろ?」
「もう悠ちゃんは・・・そんな言い方したら夢がないじゃない・・・」
「クリスマスプレゼント配るのはサンタさんだけどプレゼントを用意して
サンタさんに渡すのが天使の役目なの・・・」
「へ〜そうなんだ・・・それは初めて聞いた」
「だからこの時期、天使は忙しいの」
その後も僕たちは水族館やプラネタリウムを見て楽しんだりした。
ホテルの4階のスカイアリーナではクリスマスマーケットが開催されていて
窓からイルミネーションを見ながら仲良くスイーツを食べた。
そこで僕はクリスマスプレゼントを音色ちゃんに渡した。
「ねえ、プレゼントがあるんだけど・・」
そう言って僕は手に持っていた手提げの袋を音色ちゃんに差し出した。
「それ、なに持ってるんだろうって思ってた」
「気づいてた?」
「気づいてるよ」
「ほら、開けてみて・・・喜んでくれるといいけど」
「その袋、持っててあげる」
僕が音色ちゃんに渡した袋の中身はティフアニーのブルー ギフトだった。
ネックレスやイヤリングなど装飾品がセットになってるギフト。
「うそ、これ高かったでしょ」
「音色ちゃんにはそれ以上の価値があるよ」
「だめだよ、こんないいモノ」
「僕たち恋人同士だよね」
「それはそうだけど・・・」
「じゃ〜喜んで受け取ってくれると嬉しいな」
「分かった・・・喜んでいただく・・・大切にするからね、悠ちゃん」
「それと今日は、ありがとう・・・楽しかった?」
「うん、僕も楽しかった・・・僕は音色ちゃんとなら、どこだって楽しい
けどね・・・ 」
「俺も悠ちゃんとなら、どこにいたって楽しい」
楽しい時間を過ごした僕たちはルンルンでアミューズメントパークを後にした。
そして駐車場に向かう途中の煉瓦の橋の上で僕は立ち止まった。
「どうしたの?悠ちゃん」
「あの・・・ハグしていいかな?」
「い、いいけど・・・」
「そう言われたから僕は音色ちゃんを優しく抱きしめた」
「僕ははじめて自分の彼女の体に触れて、幸せを感じた」
これが女の子の感触・・・。
「あのもうひとつ・・・なんだけど・・・キスしてもいいかな?」
「え?まだちらほら人が歩いてるよ」
「みんなカップルだから・・・誰も気にしてないよ」
「ね、いいでしょ?」
「うん」
音色ちゃんは恥ずかしそうにうなずいた。
「切ないよ・・・音色ちゃん、俺、君のことどんどん好きになってく」
このあふれそうな気持ち止められそうにない・・・君が恋しくて
泣けてきそうなんだ」
「あ、ごめん・・・つい感情が高ぶって思ってること吐き出しちゃった」
「謝らなくていいよ・・・」
「嬉しくて泣けそうなのは、私の方だよ・・・」
「音色ちゃん」
僕はたまらず音色ちゃんに顔を近ずけて彼女の唇を奪った。
ちょうど橋の真ん中、ふたりの影が重なった。
キスのあと、白けた雰囲気になりたくなくて僕はまた音色ちゃんを
抱きしめた。
「帰ろう音色ちゃん」
僕は幸せの絶頂にいた。
来年のクリスマスもこうして音色ちゃんと来れたらいいな・・・。
いやきっと来る。
クリスマスだけじゃなく、この冬も来年の春も、そして僕たちが出会った
夏も、秋も季節がいくつ過ぎても僕は音色ちゃんと生きて行きたい。
つないだ音色ちゃんの手がとても冷たかったから僕はそのまま
僕と音色ちゃんの手を僕の上着のポケットにつっこんだ。
おしまい。
音色・・・はじまりの夏。 猫野 尻尾 @amanotenshi
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