DESTROY BOY~1人の少女~

センダ カイト

第1話 咲いてしまう1つの花

────少女は死んだ。

いや、『散り去る』とでも言うのか

それすら記憶の片隅に沈み込んでいる───

ここは地球だ、地球以外の何物でもない

しかし、抽象的に見てはどうだろう

星や球体、青など...

こうやって絞れば絞るほど

地球にはが生まれる

それは今世でも、花のように


ここは西の都、何の変哲もない

田舎とも都会とも言い難い町である

その中に小さな家がポツリ


「家出んの後20分か、まだ時間あるな」


関西口調の大男、彼の名は

覇謝はじゃ 春楼男はるおと言う

皆からは『デストロイ・ボーイ』と呼ばれ、

あだ名が異常に長い為

『デス君』『デスちゃん』『デスさん』

と簡略化されている

その呼び名が地元で定着しすぎて

本名を9割の知人が忘れてしまうほどである


「ほな、行ってくる」


向かう先は高校、『得名とくめい高校』

上り坂を安価な自転車で駆け上るのが日常、

今日もまた、朝から暑い日差しに照らされる


「今日もほんま暑っついなぁ

冷えピタ貼って学校行ったら良かったわ」


目が座り、頭もぼんやりしてきた

いつもの事だが、中々慣れないものである

疲れることや、軽くとも労を感じると

彼は身体に何も馴染ませなくなってしまう


四角兎しかくうさぎ製麺でも行こかな、時間あるし」


登校中にも関わらず、店へ寄ろうとする

その時であった...


「ん?なんや、この店の花、何か色、変やぞ

多分マリーゴールドか何かやと思うけど

ピンクっぽくなっとる、しかもなんか

若干やけど、光ってる?」


不思議な小さい花が咲いていた

頭に桜がよぎるほどの美しい桃の色合いだが

マリーゴールドとの相性は如何程か

計算してもしきれない程、

妙に頭に残る色であった

そして微かに、ほんのちょっと光っている

点滅しているようにも見える

日に当たっている為、錯覚でそう見えるのか彼は見つめていた

授業が始まっていたことにも気づかず


「...やっぱりこいつ

なんかあるな、変やし、

ちょっと甘い香りくるし

...女の子みたいな?

んー、...ん!ってか学校行かな!」


やっと気づきを得た彼は

不思議なマリーゴールドから

身を離し、自転車に乗った


─────たが、その花は


あたしが見えるの?


!?


不思議な花では終わらなかった──────


「なんや、どっから声が!

ここは車とか人とかよお通るし、

でもなんか俺に囁いとるみたいな」


あたしの声、聞こえるの?


「...小学生みたいやな

何もんや、お手上げやし出てきてくれ」


すると

不思議な花が、大きな光を発した

目がはち切れそうになるぐらいの明るさで

しかし、周りの誰も気づいていない様子だ


「な、なんや、急に光ったで...!」


すると...


「じゃーん!マリリン参上!」


んん??


「...ん?まりりん?ってかお前どっから

出てきたんや!マリーゴールドわい!

さっきまでそこにあった花はどこや!」


少しパニックになってしまう彼は

情報が読み込めなかった

摩訶不思議な花が急に発光し、

発光したのち少女が現れるという

2次元にも遭遇しない出来事を

目の前にしているわけだからだ


「金髪で強面でのお兄さん

あたしの事見えるんやな!

私はマリリン!マリーゴールドやったから

ちゅうて適当な名前や思たら大間違えやで!」


んんんんん?????

あと俺、そんな印象なん???


彼の頭にハテナが増えてしまう

情報量がパンクしてしまったのだ

入っていた空気は二度と戻って来ない

頭は真っ白でペラペラな状態になった


「ん?お前、まさかさっきの

花やったとかとちゃうやろな」


「せやけど?」


もう、飲み込めなくなった

味が濃すぎる

中和の出来ない塩分だけに偏った醤油の様に

濃すぎるが故に、少し戸惑いも収まった

まずは情報を取り込まなければならない


「んなアホな、そんな話あるかい

お前がさっきの花とか、信じられんがな」


「そりゃそうよねぇ

あたしの事見える人なんてお母さん以外に

初めてやわ、やけど初対面やのに勝手に口が進むな、気ぃ合うんとちゃう?」


ベラベラと、小学生のイタズラなのか

にしてはなんというか、の貫禄を感じる

唯の馬鹿なのか、本当に花なのか

どうこの状況を打破するか頭を練ってみる


「んー、何か花っちゅう証拠無いんか?

頭の色が若干桃色掛かっとんのが

特徴的やけど、それだけやとな...」


花である証拠

頭から花が咲くのかと考えつつも

それは何故か既視感があるものであり、

逆に嫌悪感を抱いてしまうと反対する己

ならば、もう一度花に戻れば分かるか?

そうでも無い、

もう一度振り出しに戻るだけだ

女の子が俺に光を照らしてその間に

花を刺してるだけなのかもしれない

それ以外に確証の得る手段とは一体...


「これならどう?」

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