恋してるあなたに303

愛菜

まだラブコメのような体験が忘れられません

私が彼と初めて出会ったのは、3年半前の入院中でした。彼は看護師、私は患者です。80歳くらいのお婆さんの患者さんを優しく車椅子に座らせてる姿に、一目惚れしてしまったんです。担当でもなかったのですが、彼を見つけたら声をかけました。患者さんの友達の後ろに隠れて、友達に、私が彼を好きだと言うことを伝えてもらいました。2週間程入院していて、最終日に彼に手紙を渡しました。渡すとき、内容を読み上げるのに凄く緊張してしまったんです。読み終わったら、そんな私に、彼がありがとうって頭をポンポンとしてくれました。そして、それから約1年後に、私はまた再入院しました。すると彼がお久しぶりですって部屋に来てくれたんです。その際に、色々話しました。その時、初めてまともに、話したかもしれません。その後も入院中、何度も部屋に来てくれました。彼は私の担当ではなかったですし、エリア外ですが、何度も来てくれました。その姿を見ていた、他の患者さんも、彼が好意を持っているね、と言ってくれました。でも、あくまで私と彼は、患者と看護師。きっと一線引かれる。自信も無く、手紙に、ありがとうございました。と過去形で、手紙を渡しました。すると彼が、良い彼氏見つけてくださいね。と言いました。


手紙を渡したその後、退院するまで、何度もエリア外なのに、彼は来てくれました。




最後の朝、部屋に二人きり。


私は、彼の好きなところを8個書いて渡しました。




*・゜゚・*:.。..。.:*・'*:.。. .。.:*・゜゚・*。. .。.:*・゜゚



「目がキラキラしていて顔がカッコよくて、マスクを外した顔が好き。」




最後の⑧番目を照れながら、私は読み上げた。



すると彼は、自分の顔を指差しながら、


「こんな顔の彼氏、見つけてくださいね」


そう、嬉しそうに言った。




甘くて切ない最後の密会。




「また、どこかで会いましょう」



溢れ出そうな涙を堪えながら、私は彼に言ったんだ。




「また、会いますか」




彼のその返事が嬉しくて、二度と戻らない約束を、まだ信じている。



私は、信じると決めたんだ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーend

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