エピローグ
俺が今尾活に取り憑いてから70年ほどになる。いつの間にか、長い付き合いになったものだ。初めの頃は、奴があまりに頼りなく、まさか70歳を超えるなどとは想像もできなかった。
最初に言ったように、俺は奴の精神的弱さが見ておれず、取り憑くことにした。奴は、高校を卒業する頃まで、あまりに幼くて頼りなかった。正直、途中で見捨てようとさえ思ったほどだ。でも、幸か不幸か、奴は大学への進学を決めた。それで、活路が開けた。
俺は、奴に賭けることにした。それからは、奴が弱気になりそうになると、必死に助言し続けた。それに応えるかのように、奴は次第に逞しくなった。30歳になった頃には、普段の生活で俺の出番はほとんどなくなったね。会社の中堅設計技師になったかと思えば、マラソンまで始めたから驚きだったよ。ただ時々、無茶をする。その時には、俺の出番というわけだ。
ともあれ、今尾が何とか無事に今日を迎えることができているのは、俺の大きな喜びだよ。これからも、できる限り長生きして欲しいものだ。俺のためにもね。
生神 今尾 活 @IMAOIKIL
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。生神の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます