第11話:エピローグ

「もしもし? え? いや、今イタリアにいる。 そう。ローマやヴェネチアやミラノのイタリア。ピザとスパゲッティとサッカーのイタリアだよ。地中海沿いのバーリっていう街にいる。うん。なんか軌道の関係で日本よりもこっちに降りるほうが安くてさ。ん? いや、はしゃいでなんかないよ。いつも通りさ。だから酔ってなんかないって。」

 実際はコロナの瓶をすでに3本も空けていた。そしてハイテンションのまま続ける。


メッセージの答え、わかったよ。答えは『e』だろ?

EndとEternityの綴りの始まりは “e”

TimeとSpaceの綴りの終わりも “e” だよね。


 海岸で海風に吹かれながらケースで買ったコロナをボトルごと飲んでいる。

「なあ、マーカス。お前には……。」

言いたいことが沢山あった。「ありがとう」と一言いいたかった。

「何ですか?」

「いや、なんでもない」僕はうまく言えず、手元のボトルを置いてアイスボックスの中の新しいコロナを取り出しキャップをひねった。なんだか変に気まずくなって手にもったキャップを浜辺に投げ捨てた。

「やっぱりビールっておいしいですよね」とマーカス。

「それが解かっていれば問題なしさ」と僕。

 何も言う事はないよ。僕たちの冒険はまだ始まったばかりだし、これからも続くのだから…。



  また、仕事なんだ。

  大丈夫、ちゃんと開拓されたゲートを使うよ。

  危険な冒険はしない。

  デブリの深追いもしないから。


 それはどうかしら? という表情を浮かべながら、彼女はチェックの済んだパスポートを返してくれた。


  そしてまた微笑んでくれた。


  「いってらっしゃい。」





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NOSTALGIA @Capybara_Jun

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