物語の真相を知ろうとは思わない、ただ…、桜の木の下は、念のために、掘っておいた。

たかさば

 

「権利書は一番きれいな桜の木の下に埋めてきた!欲しいやつは探すがいい!!!」



 資産家の大叔父さんが、親戚一同を市内のホールに集めてふざけたことをのたまったのは昨年のことだ。

 桜の花が散った後の、ゴールデンウィーク前のことだった。



「期限は来年の今日まで!もし誰も見つけられなかったら、俺の財産は市へ寄付することにする!」



 ご丁寧に弁護士つきで堂々と宣言をし、ルールを説明した。


 スコップで探せる範囲に埋めてあるから安心しろ。

 むやみやたらと掘り起こして桜が枯れたら宝探しは即中止にする。

 重機などを使って桜の木を掘り起こしたら賠償金を払ってもらう。

 期間中は監視カメラを設置するので覚悟しろ。

 探偵などを雇ってもいいが、その費用は自分で用意すること。

 遺産を期待して借金などしたら即参加資格を剥奪する。

 カプセルの中に金庫の鍵と説明書が入っている。

 それを見つけたものに、財産を相続させる。

 もし一般人が見つけてしまったら、その時は市に寄付をする。

 来年の今日、埋めた本人が直々に掘り起こして確認をする。

 そのとき見つからなければ、市に寄付をする。

 そのとき見つかれば、市に寄付をする。



 大叔父さんは、平凡な一族の中に突如現れた風雲児だ。


 俺の父方の祖母の18歳下の末弟で、若い頃に単身都会に乗り込み少々の苦労をしたあと事業を成功させ、莫大な財産を築き上げた人物である。働くことと面白いことが大好きで、なんと言うか…非常に子供っぽいタイプの…いわゆる変わり者だ。俺が小さい頃、事業をミスって全財産をすってしまい、しばらくうちに同居していたことがあるので…わりと面識は、ある。



 祖母(長女)生きていれば92歳

 子供一人(俺のオヤジ(生きていれば70歳)


 祖母の弟(長男)88歳

 子供三人、孫6人、ひ孫15人


 祖母の妹(次女)85歳

 子供二人、孫4人、ひ孫8人


 祖母の弟(次男)80歳

 子供二人、孫5人、ひ孫4人


 祖母の弟:大叔父さん(三男)74歳

 未婚、子供なし



 関係者を徹底的に集めたら信じられないくらいの大人数になってしまい、誰がどの血縁でどの人が血がつながっているのかさえ分からないような有様だった。伴侶を連れて参加している人がほとんどで、立食パーティーも兼ねていたからかなりの賑わいだった。中には弁護士を連れて参戦していた人もいたようだ。老若男女が入り混じる、総勢参加者100人越えの大イベントだった。



 …伴侶をもたず独身を貫いていた大叔父さんが、友達と興した会社を若い人に任せて地元に帰ってきたのは、十年前のことだ。もともと地元愛にあふれた人物で、若い頃からちょくちょく里帰りをしては…町おこしに貢献していた。何もない荒れ果てた土地を買い取り、こつこつと私財を投じて公園を作って、桜をたくさん植え…観光スポットを築き上げたのだから恐れ入る。15000坪の土地にはソメイヨシノ、シダレザクラ、ヤマザクラ、オオシマザクラ…いろんな種類の桜が植えられており、春になると実に見事に咲き乱れている。【さとやま桜公園】と名付けられた自慢の場所は、近隣住民のみならず県外からもたくさんの人々が足を運び、人気の憩いの場となっているのだ。


 大叔父さんは、なんとしても自慢の公園を残したいようだった。


 ところが、相続人がいないのをいい事に…今年後期高齢者になる大叔父さんを気にした親戚連中が良からぬことを目論みはじめた。


 田舎とはいえ、車で30分も行けば都市郡があるし、自転車で10分の位置には大きな大学もある場所だ。公園を潰してモールでも造れば…大もうけができると考えるものは、少なくなかったのである。金に目がくらんだ親戚の中には、公園を潰してマンションを建てた方が良いと力説する者も少なくなかった。若い親戚連中に至っては、大叔父さんの遺産が転がり込んでくることを見越して建築や経済を学んだやつもいるような有様だった。


 大叔父さんは、もともと公園を市に寄付するつもりだった。すでに市内の名所になっているし、無償で渡すことで桜が長く残ってくれるに違いないと考えていたのだ。しかし、親戚連中は、市など土地開発が入れば元所有者の気持ちなど踏みにじって簡単に潰してしまう、市は結局他人だしタダで換金できる財産を渡すなんてとんでもない、公園ごと売り払って面倒な管理を任せるほうが良い、いっそのことテーマパークにして事業をはじめたらどうだ、今なら売れる場所だ、売り時だ、後継者もいないんだから負の財産になる前に、親戚の迷惑になる前にどうにかしろ等々、おかしな主張をし始めた。持ち主を差し置いて勝手な論争を繰り広げ、それを聞いてぶち切れたというのが、今回の騒ぎの真相だと俺は睨んでいる。……大叔父さんは、将来的な事を考えて派手に行動を起こすことにしたのだろう。破天荒な大叔父さんらしい喧騒の終息のさせ方だと俺は思った。


 金に目がくらんだ親戚連中は、イベントの後、こぞって財産のありかを探し始めた。


 どの木の根元に億万長者へのパスポートとなるカギが埋められているのか…血眼になって地面を掘るものが現れて、地元の公園を愛する人たちに煙たがられるようになった。大叔父さんは市役所の職員やこの辺りの権力者、一般人など、かなり顔が広かったので、理解者や協力者がたくさんいて、不届きな行為をする親戚連中を監視していたのだ。


 どの木が一番立派な花を咲かせるのか…情報を求めて迷走する者が何人もいた。しかし、憩いの場を永遠に潰して一時の財を求める人たちに、地元住人は冷たい目を向けた。


 結局自分の目で一番美しい桜を探し出すしかないと踏んだ親戚連中は、三月から足しげく公園に通うようになった。今年の春、やけに【さとやま桜公園】に来客が多かったのは…気のせいでは、ない。




 俺は…大叔父さんの遺産なんかには、興味はなかったが。


 ……思うところは、あった。




 いよいよ明日が約束の日という夜中、俺はスコップを手に、一本の桜の木の下を…掘り起こした。




 ……そこには、何も埋められては、おらず。


 俺は、黙って、土を……かぶせた。




 そして、期限の日が、やってきた。






「という事で、俺の財産である【さとやま桜公園】は、全て市に寄付する事になった!」


「あとで権利を主張しないよう、皆さまこちらにサインをお願いいたします。」




 結局、親戚連中は、誰一人としてカプセルを見つけることはできなかった。




 泥だらけのカプセルを見て苦々しい顔をしている人々がおよそ半数、カプセルになど見向きもしないで、料理に群がっている人々が約半数。無表情で立っているのは、会場スタッフか、弁護士たちか……。


「こんなのは違法だ!!財産は親戚に法律に則った分配をすべきであって!!」

「やめなさいよ!!!さもしいわね!!」

「まあ…仕方ない。」

「ねえねえ、このグラタン美味しいよ!!」

「スミマセーン、ジュースのおかわりくださーい!」

「待てよ!!俺は経営学を学んでいるからさ、あの公園を生かせるスキルがあって!」

「そんな事言ったら俺だって建築のスペシャリストだ!マンションにすべきなんだよ!」

「さとやま公園の桜まつり面白かったね!」

「大道芸人、見た?」

「もうここにいる人みんなできっちり財産分与したらどうなんだ!」

「こんなパーティーやるくらいならこづかい配れよ……。」

「いやですからね、一般的にこういう財産分与の形式はですね?」

「財産を持つ本人の希望が通らないはずないだろうが!!!」

「もう決まった事ですので、覆すことはできませんよ。」



 派手に持論を述べるもの、何も言わずに事の成り行きを見守るもの、言いたいことを言うもの、イベントを楽しむもの、親戚付き合いを楽しむものに疎ましく思うもの、冷静に状況を見ているもの…行き過ぎた財産というのは、こうも人々の表情を生み出すものなのだと、知った。



「どうしてもあの公園が欲しいのであれば…裁判を起こしてもいい。だが、その場合は、俺の貯金は一切分配しないからそのつもりでな。東京のマンションも駐車場も売却したうえで全員にしっかりと法に則って分けるつもりだったが、抹消させてもらう。それでよければ、今すぐその旨申し出てくれ!」



 大叔父さんの財産は、【さとやま桜公園】だけではない。親戚連中は皆黙って、公園の権利の譲渡についての契約書にサインをした。






 梅雨入りが発表されたころ、大叔父さんが俺の元にやってきた。




 手には…桜餅を持っている。


 この人の手土産は、いつも老舗の和菓子屋の桜餅なんだ。




「おいっす!!どうだ!!ちょっとは落ち着いたか!!!」



 勝手知ったるという感じで、我が家に上がり込む、気のいいおじさん…いや、もうおじいちゃんか。



「じーちゃんいらっしゃい!」


「いらっしゃい!」


「こんにちは~!ハンバーグもう焼いていい?」


「頼むわ!!チーズは後乗せでね!!」




 娘と、息子を抱っこした嫁が出迎える。


 おじさんはうちの嫁のハンバーグが大好きなんだよな。いつも来るたびに焼いてくれってうるさくてさ。まあ、嫁は料理好きだから、大喜びで作っているんだけど…たまに焦げ目についてうるさい事を言うもんだから、子供みたいなケンカするのがちょっとなあ。



「うん、ようやく施工業者が決定したよ、今度トイレを二か所造ることになったんだ。デザイン案が三件あってさ、ちょっと見てくれない?」


「マジか!!ちょっと見せてみろ!!!」



 俺は今、市役所で働いているんだ。



 大叔父さんの寄付の件は、公園緑地課で前々から計画が進んでいたのだが、契約をしようとしたところで親戚から待ったがかかって、ひと悶着あったのが…五年前だったかな?わざわざ所有者がいない日を見計らって、訳の分からない陳述書?を提出しに来て、一族の了承がないので譲渡はしかねますと言いやがってさ。


 あのときのおじちゃんの怒りっぷりと来たら…ホントすごかったんだよなあ。



 俺は…一族からはあまり存在を知られていないというか…関わりが薄かったり、する。



 若い頃駆け落ちをしたオヤジと母さんは、祖母からずいぶん嫌われていたようだ。


 俺が生まれてしばらく経ったころ、一応関係を修復したらしいんだけど…その後で親父が浮気をして家を出たんだな。


 親父は不倫相手と結婚して家庭を持ち、以降俺の顔を見に来ることもせずに死んでしまった。


 俺に異母兄弟がいることを知ったのだって、今回の騒ぎがあっての事で…本当に一族のほとんどとは縁が切れていたのだ。




 母さんの遺影に向かって、手を合わせている…大叔父さん、以外は。




「おい!!お前…実は鍵を、見つけていたんだろう!!!」



 ……相変わらず、まっすぐで…豪快な人だよ。



「お前は…桜の美しさを、知っていたはずだ。なんで名乗り出なかった?」




 ……いつまでたっても、目玉の奥の輝きは衰えていない。


 ごまかしは、きかないかな?

 まあ…とりあえず、言っておくか。




「…何言ってんのか、わかんねえなぁ。」




 ・・・今から、ずいぶん、前。


 大叔父さんは、恋をした。



 だが、その恋の相手は…すでに家庭を持っていたのだ。




 ―――桜さん?今日から世話になるよ!迷惑かけるね!

 ―――お義母さんの頼みですから…大丈夫ですよ。

 ―――ねーねー、おじちゃんだれ?




 ―――桜ちゃんの実家なんだ、ここ!

 ―――亡くなった両親の持ち家だから、売りたくなかった…旦那は売れって言ったけどね。

 ―――ねーねー、パパいつになったらかえってくるの?




 ―――さくらっち!!庭にきれいな桜が咲いたから花見しよう!!

 ―――この桜の木は私と同い年なの、すごく奇麗でしょう?

 ―――わーい!はなびら、はなびら!!




 ―――さくらあ!!俺ハンバーグ食べたい!お前の飯、ちょーうめーのな!

 ―――桜だってば!!人を木みたいに呼ばないでよ!!

 ―――ぼくはちーずのせてほしい!




 ―――さくら!お前ホント不器用だな!俺がやってやるよ!貸してみろ!

 ―――あ、ありがと……。

 ―――おじさん!ほいくえんのナフキン、ありがと!




 ―――さくら、言いたいことは言わなきゃ伝わらないんだぜ?

 ―――わ、私は、別に……。

 ―――ぼくおじちゃんだいすきー!




 ―――桜…お前は、それでいいのか……?

 ―――……うん。

 ―――わーん!!おじちゃーん!!いっちゃやだー!!!




 どんな物語があったのか、俺は・・・知らない。




 仕事で家を空けがちの、身勝手な父親。

 寂しがり屋で気の弱い、優しすぎる母親。

 無邪気で何も知らない、幼かった自分。




 俺が知っているのは、十年前に、母さんが涙を流しながらこの世を去ったということだけだ。


 六十を目の前にして、病気に倒れた…桜という名前の女性がいたということだけだ。




 母さんが生まれた時にじいちゃんが植えたという桜の木の横に、小さな苗木が寄り添うようになったのは、お調子者のおじちゃんが出ていく前日の事だった。




 ―――おい!!俺が植えた木なんだから絶対枯らすなよ!!…見に来るからな!!

 ―――うん、大切に…育てるね。



 ―――お前のかーちゃんは寂しがりやだからな!いいか、絶対に一人にすんじゃねーぞ!!

 ―――わかった!!




 母さんは…いつも穏やかに微笑んでいたけれど。


 時折とても悲しそうな顔をして、庭の木々を見つめていた。




 桜の木の横にある、ピンクのサザンカの花言葉が「永遠の愛」だと知ったのは…いつのことだったかな。




 母さんが生きていたら、今年70歳。


 うちの庭にある桜の木も70歳になるから、かつての美しい満開の姿を見ることはできなくなっている。




 けれど、この木を見れば、一番キレイな満開の桜の姿を思い出す人は存在しているのだ。




 この家は、【さとやま桜公園】の、一番端の、すぐ横に建っている。


 母さんが病気で倒れるまでは、家のガレージ部分を改造してだんご屋をやっていたんだ。


 …オヤジが出て行って以来、ずっと働き続けてきた母さんは、公園が出来た頃からだんご屋を始めたんだ。


 寂しがりやで、人好きで、おもてなしが好きで、料理が好きで、子供が好きで、優しい、母さんにぴったりの店だった。


 桜の季節には花見団子を作って、ずいぶん人気が有ったんだよなあ。


 常連客もたくさんいて…まあ、一番買いに来ていたのは、毎回大はしゃぎで団子を買い占めていた、やけにキップの良い、言葉は乱暴だけどどこか親しみのある、子供っぽいおっさん…おじちゃんだったわけだけれども。おそらく、おじちゃんの体のほとんどは、米粉でできているに違いない。




 …このあたりは何もない場所だったから。


 少しばかり金を稼いだ男でも、買い占める事ができたのだろう。


 大金を稼いだ男が、小さな公園では団子を買いに来る客も少なかろうと、どんどん敷地を広げていったのだろう。




 …うちのすぐ裏手には、【さとやま桜公園】の中でもひときわ立派に咲き誇る桜の木があるんだ。




 うちの桜の木を覆い隠すように、今年も見事に…桜は咲き乱れていたのだけれども。




 ……もしかしたら、欲の皮の突っ張った連中がさ。


 人の家の庭に迷い込んで、老木の足元を掘り返すかも、知れないだろう?




 ……去年、家の持ち主に黙って、老木の足元におかしなものを埋め込んだ、不届き者がいたもんだからさ。


 疑心暗鬼にも、なるってもんだ。




 埋めたもんが無くなったって、騒ぐ奴がいるかもしれないからさ、ご丁寧に…埋め戻してやったともさ。




 人の家の庭に二度も無許可で足を踏み入れて、老木の足元を耕すとか……、許しがたい事ではあるけれど。




 俺は、現場を見ていないから…犯人が誰かなんて、わからない。




 俺は…探偵なんかじゃないからな。


 俺は…推理なんかするつもりはないからな。




 俺は、家族を愛する、ただの一般人であって。




 母さんの思い出を探るつもりは、ないんだ。


 過去の出来事を明らかにするつもりは、ないんだ。


 誰かの財産なんかには、全く興味はないんだ。




 大叔父さんの公園は、正式に市のものになった。




 市は、【さとやま桜公園】を、観光名所にしようと考えている。


 交通の便も良いし、設備も充実しているから…きっと春のみならず、たくさんの人が訪れる公園になることだろう。


 ひらけた場所に児童遊園コーナーを作る計画が通ったから、寂しがり屋が喜びそうな、賑やかな公園になるはずだ。




 市が公園を潰す可能性は…俺が公園緑地課で働いているうちは、発生しないし、させない予定だ。


 企画書はきっちり提出してあるし、この先二十年の予定が組まれているからたぶん大丈夫だろ。




「お前なあ!!ごまかすなよ!!人がせっかく理由つけてやったのに!!一年も埋まってたもんがあんなにすんなり掘り出せるわけねえだろ!!土やわらか過ぎだっての!!俺はなあ、きちんと正式に公園をだな…


「おじちゃーん!!ごめん、チェダーチーズのせちゃったー!!!」」




「ちょ!!!あとのせっていったのに!!あーもー!!焼き上がったら追加でのせてよ?!」


「チーズ足りないよー!!」




「仕方がねえなあ…俺の分あとでのせてあげて、老い先短いし!!」


「なんだと?!俺はまだあと二十年は生きるぞ!!!くっそー!!お前の分のハンバーグも食ってやる!!!」




 ホントおじちゃんが来ると…一気に家の中が騒がしくて、乱暴で、子供っぽくて、収拾がつかなくなるんだよなあ……。


 まあ、俺はこういうドタバタした感じ…嫌いじゃ、ない。




 月イチと言わず、毎週、一日おき、毎日だって顔を出してくれていいと思っているんだけど、自分の作ったサービス付き高齢者向け住宅のチェックが忙しいから無理って言ってきかないんだよなあ。


 新しい施設を作るとかで、めちゃめちゃはりきってるからなあ…まだまだとうぶん、隠居する予定はないらしい。




 ……ホント頑固っていうか、信念を貫いているっていうか。




「もう爺さんなんだから大概にしとけよ!!腹でも壊したら…泊まってってもらうからな!!!」




「わーい!!じいちゃん泊まるの?!ねえねえ、ミシン教えてー!!」


「おりがみ、おって。」




「はーい!!チーズハンバーグ、焼けましたよー!!!」




「俺一番大きいの貰うからな!!!ミシンは食ったらだ!折り紙ないから新聞紙で作るからな!!!まずは飯だ、めし!!」




「「わーい!!!!」」




 賑やかな声が、築75年の家の中に、響く。




 きっと、庭の桜の木にも、サザンカの木にも、…母さんにも、聞こえている事だろう。




 俺は嫁から焦げたハンバーグの皿を受け取って…、騒がしい食卓に、着いたのだった。


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物語の真相を知ろうとは思わない、ただ…、桜の木の下は、念のために、掘っておいた。 たかさば @TAKASABA

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