真面目委員長メガネおさげな私はちょっぴり悪さをする。

夕日ゆうや

真面目な彼女と、風見鶏な彼。

 私、実寺まじ目芽めめは地味である。

 生真面目で、可愛くなくて、堅物である。

 メガネと三つ編みのおさげが特徴的な委員長でもある。

 無遅刻無欠席。

 成績は毎回90点代。100点もある。

「目芽。ノート見せて」

「うん。いいよ」

 自分から出た声は思ったよりも小さくて、弱気。

 ギャルな獅子堂ししどう三咲みさきは私のノート目当てでつきまとってくる。

 私はノートを見せることで、このクラスで孤立しないでいる。

 それがちょっと嬉しかった。

 ぱしられている。

 そう言えばそれまでなのだろうけど。

 でもいじめられるよりはずっとマシ。

 ずっと楽。

 他人とのしがらみなんて不快に思っていた。


 でもある日、私は考え方を変えるきっかけがあった。

「なあ、実寺まじさん、ボクと一緒に来てくれないかな?」

「な、なに?」

 彼は阿嘉あか琉生るい

 男子の中では優男で、空気を読んで人の顔色をうかがう風見鶏かざみどり

 そう思っていた。

 屋上前の踊り場に来ると、阿嘉くんはこちらに笑顔を向けてくる。

「息苦しいから、一緒に学校サボらない?」

「え!?」

 いきなり呼びつけておいて、言うことがそれ?

「悪いけど、私は成績落とせないから」

「そう。分かった」

 そう言って私は足早に教室に戻った。

 何。なに。なに!?

 私、何に誘われたの。

 なんで私なの。

 心の中はごちゃごちゃしてその日の授業は身に入らなかった。

 ドキドキしてしまった。

 お昼休みになり、ぼーっとしながら、昼食をとる。

 自分の気持ちが分からない。

 考えていると教室に戻るのが遅れてしまった。

 遅刻なんてしたことないのに。


 その日から授業をサボることもあった気がする。



 それが夫とのなれそめである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

真面目委員長メガネおさげな私はちょっぴり悪さをする。 夕日ゆうや @PT03wing

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ