第22話 拝啓

拝啓

 親愛なる鳥海誠へ。

 この世を旅立って君は一体どこにいるのでしょか。それなりにやれていることを願っています。

 さて、今回は、以前君が送った手紙の返信をさせて貰おうと思い、この文を書いています。

 早速ですが、悪魔という存在についてですが、それは世界から絶根されているものではなく、人本来の本能ではないかと思いました。そして、本能には君が言ったように勇気であり、信念であることは間違いないと思います。そして、君は足りていないと言っていたことから、僕たちは考えました。

 それは、理解という言葉で落ち着きました。そう、人の本能にはそれを理解してくれる、許してくれる理解者が必要であると思いました。そして、小学生だった頃の誠へ、君はこれから君を本当の意味で理解してくれる相手や理解しようとしてくれる仲間に出会えます。

 だから、生きて、生き延び続けてください。最後に、誰かを好きになる感情は無責任に、無慈悲にやってきます。仕方ないですが、それが現実です。しかし、人は好きの感情を得た瞬間責任を伴わなければなりません。ならなくては、誰よりも、自分が救われないじゃないですか。だから、君が好きになった人たちは君のことを責任を持って、そして自分たちの意志で好きで居続けます。忘れないで居続けます。

 だから、安らかに眠りについてください。次にまた出会える日まで。


 藤崎祐樹 荒瀬夏彦 奈々丘春 蔵原香織



 夏風の向こう側で悪魔は囁く。

「春は夏を追いかける。春が夏に追いつく時、季節が巡っていく。愚者の黎明だ」

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黎明の四月 @izumiryu

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