珠玉の圧政・・いや違ったエッセイをあなたに・・・

　著者渾身のエッセイ。
　心温まるお話に、ほっこりしますよ。

〈昔話：ローバ様の言い伝え〉
　七夕の日・・・村人たちが見守る中、空から円盤が降りてきました。村人たちが口々に叫びます。
　「なんだ、あれは？」「あんなの初めて見るよ！」
　円盤が村の真ん中に降り立ちました。すると、円盤が二つに割れて、その中から、それはそれは美しい女性が降り立ちました。
　村長の青鹿（あおか）がその女性の前に出ました。青鹿は村で初めての女性村長なのです。青鹿が女性に聞きました。
　「私は村長の青鹿です。あなたはどなたですか？」
　女性が優しい声で答えます。
　「ローバだ。背を撫でてろ、青鹿」
　ローバ様だ、ローバ様が降臨なさった・・・そういう驚きの声が村人たちの中から聞こえました。村には昔から『いつの日かローバ様という神が村にやってくる』という言い伝えがあったのです。
　青鹿はローバ様に言われたように、両手を後ろにまわして自分の背中を撫でました。ローバ様が不思議そうな顔をして青鹿に言いました。
　「あなたは何をしているのですか？」
　「ローバ様に言われたように、背中を撫でています」
　「私はそんなことは言っていませんよ」
　青鹿は驚いて、ローバ様に聞き返しました。
　「でも、さっき、ローバ様は『ローバだ。背を撫でてろ、青鹿』とおっしゃいましたが・・・」
　ローバ様は青鹿に優しく言いました。
　「私の星の言葉はあなたたちの逆なのです。逆に言ってごらんなさい」
　青鹿は地面に『ローバだ。背を撫でてろ、青鹿』と書いて、声を上げて逆から読みました。
　「え～と・・
　ローバだ。背を撫でてろ、青鹿・・
　ろーばだ　せをなでてろ　あおか・・
　逆にして・・
　かおあ　ろてでなをせ　だばーろ・・
　かお　あろて　でなをせだ　ばーろ・・
　顔洗ろて出直せだ。バーロー！」
　青鹿も村人たちも「ぎゃび～ん」とひっくり返ってしまいましたとさ。。。
〈昔話おしまい〉

　皆さん、ぜひ、この素晴らしいエッセイを読んでね・・・