第2話 ドジっ子うさみみメイドは、強面魔王さまの膝の上で星座占いを読み上げる
「全く、お前は俺に抱かれたいのか?」
「も、も、申し訳ございませんんん!!」
すぐに下りようと思ったのに、逞しい腕でぎっちり掴まれて身動きが取れない。ぷるぷる震えながら魔王様をそっと見上げる。
魔王様は、禍々しい二本の黒い角と尖った牙が生えていて、赤子が見たらギャン泣きする強面だけど、わたしが
「おい、俺は目が疲れたから、お前が書類を読め」
「っ、はいっ!」
魔王様は、毒々しいほど似合う魔王服の懐から一枚の書類を取り出した。魔族ではない黒
「ここを読め」
「はいっ!」
太い指でトンと書類を叩いたので、うさ耳をぴょんと跳ね上げて気合いを入れた。
「今日の星座占い――魔王座は禍々しいほど絶好調!」
とっても嬉しくなったわたしは、魔王様の膝の上で丸い尻尾も揺らして跳ねる。ぴょんぴょん。
「……やば、まじ、かわいい――」
魔王様がなにか言った気がして窺えば、ギラつくまなざしで毒々しく色づく
「あの、魔王様、なにか言いましたか?」
控えめに魔王様のマントをつまむと、凍てつく視線がわたしを素通りして書類に落とされる。
「おい、最後まで読め」
「も、も、申し訳ございませんんん!!」
魔王様が大きく息を吐き出して、黒いうさ耳を
「ラッキーアイテムは、もふもふ!
わたしの星座の悪報に脱兎の如く逃げようと思ったのに、肩に
「おい、
魔王様の低い声に視線を動かすと「ラッキーアイテムは、なでなで」に息を呑んだ。
「あーー…俺のラッキーアイテムはもふもふだったな」
魔王様の思い遣り溢れる言葉が恋の矢になってトスッと胸に刺さる。好き。
「っ、魔王様、なでなでしてくださるのですか?」
「臣下の憂いを払うのは魔王として当然だ」
「っ、ありがとうございますっ!」
魔王様の肉厚な
うさ耳、もう、洗わない。
おしまい
ドジっ子のうさみみメイドは、なぜか強面魔王さまの膝に転んじゃう 楠結衣 @Kusunoki0621
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