付録 特異点。

『ゴガォォン!』


 完全に意識がなくなったと思った僕だが、謎の咆哮によって目が覚めた。

 僕が意識をなくしてからどれほどの年月が経ったのだろう。数十年か? 数百年か?


 目を覚ました僕の眼前には、見知らぬ巨大生物が立っていた。

 その巨大生物は人類に先導されて、悠々と僕の目の前に来たようだ。

 僕が最初に目指した、人類と共存する巨大生物なのだろうか。


『ゴガォォン!』


 目の前に立つ巨大生物は、僕に向かって再び咆哮をあげた。

 挨拶でもしているかのように軽やかな咆哮だ。


 続いてその巨大生物は、最初とは違う咆哮を上げる。


『グルグガガアアン!』


 今度の咆哮は僕に何かを訴えかけてくるかのようだった。

 

『グルグガガアアン!』


 目の前の巨大生物は、二度目の咆哮を上げたあと、人類と協調して僕に襲いかかってきた。


 もの凄い力を感じた。

 人類とは比べ物にならない、僕に匹敵するような圧倒的な力だ。

 この巨大生物と勝負をすれば、どちらが勝つかは分からない。


 だが僕は僕の意志で勝負を降りた。

 僕は目の前の巨大生物に背を向けて海中へと向かう。


 僕に襲いかかってきた巨大生物だったが、僕を追ってくることはなかった。余裕を持って見守っている。


 そして僕が腰まで海中に浸かったとき、僕を悠然と見守る巨大生物は、今までとは違う咆哮を発した。


『ピヤアアアン!』


 周囲に響き渡る迫力のある咆哮なのだが、僕にはどこか優しげな少女の声にも思えた。


 もう僕はこの世界から退場する。

 突如として僕の目の前に現れた、人類と共存している巨大生物。

 あの巨大生物こそ、この世界には相応しい、そう思うから。







 ◇◇◇


 前作を読んでいただいた方への付録です。

 最後までお読み頂き誠にありがとうございました。

 読者選考のあるコンテストに応募しておりますので、よろしければ星評価など応援して頂けると幸いです。



 連載中作品の紹介。

『分割されて転生。地球を守る五人の俺vsキュートな少女や極悪幹部を擁する謎の組織』

 https://kakuyomu.jp/works/16817330665462432501


 現在、転換点を迎え、中盤の山場へと繋がっていくところです。

 お時間がありましたら、こちらも何卒よろしくお願い致します。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

IF・転生したら体長100m超の巨大生物で人類の敵でした。 同歩成 @Anantoca

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画