第10話 夜明けに

まっくらな時間に目が覚めると、椅子に腰かけた女子高生が、こちらを覗き込んでいる。

別に顔色は悪くないし、口元は楽しそうな笑みを浮かべている。

着てるのが、どこの制服かはわからないが、まあ、着崩してもいないし、髪も染めていなければ、ピアスの一つも開けていない。

まあ、真面目そうで、健康的な女の子だった。


ただ、とても怖い。


ここにいてはいけない存在だからだ。


「まあ、邪神サマですので。」


手には勝手に冷蔵庫からもってきたエビスが、握られている。栓を抜くとコクコクと喉をならして、ビールを飲み込んだ。


「まあ、あっちが長いもので。」

と、こちらの視線に気がついたのか、言い訳するように、邪神サマは言った。


「それよりさあ。」


アキルは、ぐいと身を乗り出して、こちらに顔を近づけた。

こっちが金縛りなのをいいことに、一瞬キスでもされるのかと、思った距離で、ゲップした。


「ああ、ごめんごめん。でもまあ、これより、大事なことよ。」


作中のキャラクターが現れて、勝手に冷蔵庫を漁られるより大事なこととはなんだろう。


「あなたこの物語、どう決着つけるの?」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

カクコン日記 徒然なるまま 此寺 美津己 @kululu234

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ