𝐌𝐞𝐫𝐫𝐲 𝐂𝐡𝐫𝐢𝐬𝐭𝐦𝐚𝐬‼︎
クリスマスの日の、あさ。
「……ねえ、天使ちゃん」
「もくもく」
「その……僕ら、遊ばない? 黙々としてないで、外に出ようよ。ホワイトクリスマスだよ」
「もくもく」
「(僕がサンタさんにもらった海の生き物図鑑……天使ちゃんの方がハマってる……。クマのぬいぐるみそっちのけだ……)」
「もくもく」
「…………………………………………遊びたい」
「ん。よーたろくん、なにか、いった?」
「えっ!? い、いや、何でもないよ。邪魔してごめんね」
「あ。よーたろくん。みて。おそと、ゆきふってるよ」
「そうだよ!?」
「ゆきあそびしたい。いこ、よーたろくん」
「え、ちょっ、いきなり……まっ待って! 窓から出ていかないで!?」
「わー。ゆきだー。しゃくしゃく」
「雪たべちゃダメ!!」
「よーたろくんも、おいでー!」
「て、天使ちゃん、待ってぇ……!」
葉太郎くんは、玄関からきちんと靴を履いて追いかけ、天使ちゃんに追いつきました。
天使ちゃんは裸足のままで、雪に足あとをつけています。
「天使ちゃん、寒くないの?」
「よーたろくんっ。みてみて。こーんなにちっちゃな、ゆきだまが。ころころ、ころがしていくと……」
雪玉をせっせと転がし、大きくしていく天使ちゃん。
「ほら。こんなに、おーきくなるんだよ。えへ」
その『ふにゃり』とした笑顔は、葉太郎くんの心の、どこか柔らかいところに届いて、しみこんでいくのでした。
「(……天使ちゃん)」
「てんしは、この、だいはっけんを、ゆきゆきころころげんしょうと、なづけることとする」
「(天使ちゃんは、変てこで、わけわからない存在……)」
「てんし、ゆきはかせに、なっちゃったらしい」
「(だから……僕も、つられて、よくわからない気持ちになるよ……)」
「……ん。よーたろくん、どうしたの。ぽーっとして」
「ん……別に、なんでもないよ」
「天啓のダウンロードが完了しました。ファイルを解凍しています。」
「うわ急に何!?」
「ファイルの読み込みが完了しました。」
「て……天使ちゃん……?」
「ふーん。よーたろくんは、てんしのこと、すきになっちゃったんだね」
「えっ」
「うれしーな。てんしも、よーたろくんが、すきだよ。すきすきだよー」
「わ……わわ……」
「わ?」
「うわあああーーーーっっ!!!!!!!!」※顔を真っ赤にして走って家に戻る葉太郎くん
「え。よーたろくーん」※よくわかってないけど葉太郎くんを地の果てまで追いかける天使ちゃん
~𝒇𝒊𝒏~
よーたろくんと天使ちゃんとクリスマス ~アドベントカレンダー2023~ かぎろ @kagiro_
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