新聞紙の抵抗

ゴローさん

新聞紙の抵抗

「俺たちってヒトに読まれてるのかね?」

 全く同じ姿をした隣の友達に俺は語りかける。

「さあ。先輩によると読まれることより書道の時間に硯の下に置かれることとかゴキブリ退治の道具にされたりすることが多いらしいぜ」

「げぇっ!あんまりじゃないか!」

 俺はふと思う。

「それって俺達じゃないといけないのかね?」

「別に紙だったらなんでもいいんじゃない?うるさいな」

 友達は投げやりに言う。

「もっと真剣に考えようよ。自分のことなんだよ?」

 友達が怪訝そうな顔をする。

 僕は得意顔でスピーチを始めた。

「あのね、世の中自分の存在意義が正当に評価されないこともある。でもそれが何故か考えないと、永遠に評価してもらえないんだ。進歩がないからね!」

「おー。尤もな意見だ。」

「そうだろ!」

「で、その考え方はどこの受け売りなの?」

 友達がジト目で尋ねてくる。

 僕の新聞のインクが滲む。

「…今日の新聞の一面のコラム。」

「だろ。結局俺はが新聞を印刷されなかったら何も考えられないただの紙なんだよ。無茶な抵抗はよせ。」

 その後、ヒトに対して抵抗する方法を考えていたが、途中で寝落ちして、気がついたら途中でポストに投げ込まれてしまっていた。

 今日のコラムにはこうも書いてあった。

 好きなことと仕事は違う。自らのやるべきことはしっかりやるべし、と。

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新聞紙の抵抗 ゴローさん @unberagorou

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