おまけ ピロートーク

 書きたくなったので書きます笑


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 ――幸い、血は出なかった。

 時間をかけて準備したおかげで、あまり痛みもなかったらしい。


 なけなしの知識を総動員させたことで、初めては嫌な思い出なく終わった。


「……気持ちよかった」


 ベッドに寝転がっていると、隣にいたイヴが小さく呟く。

 そんな声に俺は密かに安堵しながら、その反動で不意に茶々を入れたくなってしまった。


 彼女の方を向いて、ニヤけながら言う。


「やっぱりエッチな子だったのか?」

「エ、エッチな子じゃないもん!」

「あんなに気持ちよさそうにしてたのに?」

「そ、それは……」


 言い淀んで、顔を真っ赤に染め上げるイヴ。

 してる最中のことを思い出して恥ずかしくなってしまったのだろう。

 その様子に悶えそうになるのを堪えながら、俺は今一度彼女を抱き締めた。


「ごめんごめん、少し言い過ぎた」

「いつからシュウトは私をからかう立場になったの? 前までは私がシュウトをからかってたのに」

「だって、好きな人はからかいたくなっちゃうから」

「もう、またそういうことを言う……」


 照れ臭さを隠したいからか、イヴが俺の胸に顔を埋めた。

 そんな姿もまた可愛くて、つい彼女の頭を撫でてしまう。


 すると俺の胸から目だけを出して上目遣いにこちらをみたイヴは、恐る恐るといった様子で口を開いた。


「シュウトは、気持ちよかった?」

「俺も気持ちよかったよ」

「なら、よかった」


 口元も出して笑みを浮かべたイヴは、今度は安心したように顔を寄せてくる。


「私、今すっごく幸せなの。シュウトと恋人になれて、恋人にしかできないことができて。だから……その反動が来ないか、少し心配」


 不安そうに、イヴが俺の手をきゅっと握る。


 確かに、急ぎすぎたカップルは別れるのが早いとかなんとかをどこかで聞いたような気がする。


「……そうだな。でも、きっと大丈夫だよ。今までずっと我慢してきたんだ。だから、逆にその反動が来たんだと思えばいい」


 今までずっと苦しんできた。

 だから、少しくらい幸せすぎても大丈夫。


 握られた彼女の手を、それ以上の力でぎゅっと握り返せば、彼女の顔がふっと緩んだ。


「そうだね」

「俺たちは、俺たちらしくいこう。何かあれば、その時に考えたらいい」

「じ、じゃあ、その……もう一回、とかは?」

「今日はもうおしまい。明日も学校があるから、そろそろ寝ないと」

「そ、そうだね……」

「……やっぱりエッチな子だよな?」

「エッチな子じゃないっ!」


 そんなこんなで、俺たちの夜はゆっくりと更けていった。

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イギリスから来た金髪美少女を助けたら、何故か一緒に日本語を勉強することになりました〜素っ気なくしているのについてきます。誰か助けて下さい〜 れーずん @Aruto2022

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