扉の外

今日は猿蔵と、錦糸町PARCOだ

人流かき分けのPARCOだ

幸せと不幸せが混じり会う

小さな新宿と呼ばれる、錦糸町だ

8割近くがきっと、不幸せの下地の上

出来あがる幸せの上を、滑走してゆく

こんな素敵な事はない


そう

だって

我々も我も君達もパープーなのだ

おバカな己に涙が溢れてく

タバコの煙がしみたのよと

涙が溢れてく


幻に誰もが微睡んで生きる

俺は自由に生きると夢を突き上げ

不自由に生きる


自分の足でしっかり立っているのだよ

人々は豪語すればするほどに

大地の回転に酔わされてく


あー

愛しの猿蔵よ

黒い天使の最高傑作は今世

浮かばれず沈んでくだろう

それでいいのだよ

欲張りな奴はいつの世も、

埋もれてくものだし


そういえば埋もれそうに

ゴミの山で遊んでた

悪童の頃を思い出した


そう

荒川の河川敷


危ないから遊んではいけません

と言われたのに

悪童達は寸劇のように

遊んだ

1個上の西川ツトムが

マッチを持ってきた

汚ない女の裸の本に

火を着けた

一気に女は燃えた

今思えば

あれが初めての燃えた女の裸だった

ジュールジュジュー

女は喘いで早く早くと急いで

燃えて行った


燃えた汚ない女の裸は

枯れ草を餌に

隣のエロ本や新聞紙に跳び移り

全てを燃え付くしそうに跳び跳ねた

悪童達の寸劇はとどまること知らず

あっという間にゴミ山と河川敷1面を

燃え付くした

気づいたら

消防車もいたし、警察官もいたし、学校の先生達もいた


ビンタされた

西川ツトムの頬っぺたが1番林檎みたいに膨れた


悪童達の影法師はそして長く伸びて消えた


あの時の影法師が何を見たのだろう?



三島由紀夫の金閣寺さ

猿蔵が小生のここまでの文章眺めて

呟いた


金閣寺とは美に対する嫉妬という言葉に触発された三島由紀夫が書いた

金閣寺の美にとりつかれたハンディを背負った寺の青年僧の、生への消しがたい呪いの作品だ


そう確かにあの時

西川ツトムの炎の眼は光ってた

悪童1貧しく不遇なツトムの眼球は

美しく乱れた女のように

妖艶粛々光っていた



この街のクレイジー

プリティ・フラミンゴ

答はいつもミステリー


佐野元春はガラスのジェネレーションで唄う

今から40数年前

シティポップが全盛 の時代にピアノのメロディが主体だった佐野元春が、荒削りなロックンロールを作った


ガラスのジェネレーション

さよならレヴォリューション

つまらない大人にはなりたくない

So one more kiss

One more kiss


One more kiss me


つまらない大人には小生は

確かに…ならなかった

自問自答する


でも…

そう答えはいつもミステリー





1階のフードコートにて

2人の芸術タイムだ


猿蔵は数式を取り入れた、平民にはよく分からない絵を、丁寧に左手で、書き撫でる

小生はかなり真っ赤な酒臭い顔で

可愛いスタッフや女性見つめながら

連続小説執筆中


面白いものだ

猿蔵に酒を勧めても全く呑まない

写実的でもない時も酒は邪魔なようだ

そう言う意味でも絵とは突き詰めると

かなり高度な作業で

絵とは

芸術的トップレベルに

君臨すると言えるのだろう


尊敬してるよ

猿蔵君


そして

夏子ね

いつ何時も小生に、冷たい夏子さん


昨日も銀座ライオンレストラン行って

酔いどれの小生に、呆れて先に帰っちゃった愛しき娘

夏子さん

昨日は

ごめんよ

久しぶり嬉しくてね

酔い過ぎちゃったね


この気持ち分かって、欲しいんだけどね

君にはまだ分からないよね

いい大人も未だに子供みたいなものなんだ


誰だって心はね

ほんとは幼いんだよ

でもね

忙しさが人の心を、窮屈に固い者にしてくのだよ



どうせ鉛のような、

お前の目には分かるまい


浜田省吾が

生まれたところ遠くはなれてを

ファーストアルバムで、唄ったけど

そう言うことなんだよ

人は気をつけていないと、墜落してくものさ

人は切ない生き物なんだ

普通の顔を、演じてしがみついて

溢れないように気をつけなきゃ

人は墜落してくのだよ

尊敬に値されれば、なおも高く

墜落してくのだよ

だから

小生は怖くて、低空飛行で、突っ走るのみならず地面に、擦りながら、飛んでるのだよ

だからというわけでもないが、昨日の泥酔は擦りすぎたね


あー

3歳ぐらいの夏子が、2つのゆで卵握りしめて、泣いてる動画を見つけた

SONYのデジカメの夏子だった

今じゃあ気取って、くそ高シャンパン、買ってきてたっぷり、シャンパーニュ地方のうんちく語る夏子が、デジカメの中では泣いていた

奥様が食べすぎると、良くないからと制されて

夏子は明日もゆで卵食べたいと

懇願してるだけの動画だった


ふと小生は泣いていた

難しい問題だ

なぜか分からないのに、泣いていた

我が娘の成長に泣けるほどの、器でもないし

食べさせてあげたいほどの、優しい柄でもない、煙草ももう止めてもう22年だ


長く夏子の扉の外で 待っていた

ただそれだけだった


言葉を喋れるようになり、まもなく、パパ嫌いと呼ばれ、夏子の扉の外に放り出されてしまった


それだけなんだ


人はアテモナク、待ってると

きっとあくびが出て

涙が溢れるのだろう


そう時々、人は自分の形に

愛しの人を、嵌めたがるものだけれど



待ってりゃいい

そう

待ってりゃいい


そうアテモナク

待ってりゃいい


雨に打たれて待ってりゃ

なほもっと…いい…








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