「わが君なら――できると思います」

「開国か、否か」

黒船来航から世間は大きく揺れていた。
それは荒波の如く、歴史が動き出そうと舵を切る。
幕末、そして戊辰戦争と世は変革に導かれ、東北・北越の諸藩は、維新に抗うべく奥羽越列藩同盟を結成。その中には八戸藩という小藩があり、故あって藩主の南部信順は力を合わせるはずの同盟から敵視されていた。
信順のらりくらりと敵を躱かわしていた。
それも全ては亡き妻、鶴姫のため。八戸を保って欲しいという真摯な願いだった。

「わが君なら――できると思います」

最期の言葉を胸に、妻の想いを遂げるべく信順は抗い続ける……。

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