戦争・統合失調症は僕の運命を変えた

夕日ゆうや

今の社会に問う。これでいいのか? 日本!

 まずはこんな事例があることを知って頂きたい。


 僕はどこで間違えたのだろう?


 僕の母は真面目ですれていて、でも完全に悪い母とは言えなかった。

 だけど、小学校の頃に一度、入院していた。その時期は父の母つまりお婆ちゃんが僕たち兄弟の面倒を見ていた。

 どんな病気なのか、どうして入院したのかも分からない。


 しばらくして母は帰ってきた。一年も経っていないと思う。

 数ヶ月。だから記憶にもあまり残っていない。


 そして徐々に母は壊れていった。

 僕が小学校高学年になり、母は疾患を再発した。


 統合失調症。


 母は自分でも判断できないほど、混乱していたし、妄想にとりつかれていた。

 父はいつからか、家に帰ってくることはなくなり、どこで寝ているかも分からなかった。

 それから母は妄想と現実の区別がつかなくなっていた。

 僕は母の病名を知らない。何も出来ないし、どこにも相談できない。

 ただ騒ぎ立てる母をなだめる毎日。


 僕はこのまま生きて行けるの?


 中学一年のとき、僕は兄に「もう耐えられない」と言葉を漏らしてしまった。

 その次の日、母は医療保護入院した。

 自責の念に押しつぶされた僕は、言葉をしゃべるのをやめてしまった――。


 僕の16の誕生日、母は引っ越すことになった。離婚だ。

 僕はまた母が病院から帰ってきたら、一緒に暮らせると甘い考えを抱いていた。


「子どもに悪影響を与えるから」


 それが家庭裁判所が下したお題目だ。

 そしてさらに、


「母には子どもとの一ヶ月に一回の面会を許可する」


 それが母への同情だった。


 でも僕はその面会を苦痛と感じていた。

 不安定な精神状態の母。

 胃を裂くようなストレス。

 学校の他に気を許せない相手との面会。

 病気はまだ、治っていなかった。


 国の決めたこと、そう言ってしまえば僕は何も言えなかった……。


 戦争は多くの人の命を奪う。

 僕の母方のお爺ちゃんも同じく戦争で家族を失った。

 お爺ちゃんは愛を知らずに親戚をたらい回しにされた。

 そんなお爺ちゃんも妻を迎え、子を迎えた。

 でも子どもに対して虐待を行った。


 そう。虐待を受けていたのは母だった。


 僕は想う。

 虐待が統合失調症にしてしまったのではないか?

 幼少期の頃のストレスが人を変えてしまうのではないか?


 面会で耳たこになるほど聞かされた虐待の話。

 そして僕の父への悪口。



 僕は面会に行きたくなかった。

 国はなんでこんな面会を認めたのか、今もって理解に苦しむ。

 そして戦争を起こしている者達よ、十年後の、五十年後の先をあなたたちは理解しているのだろうか?

 戦争で失われるものは命だけではない。心もまた、奪うのだ。



 ――人の心を大事にしない世界を作ってなんになるんだ。

 これはΖゼータガンダムの主人公の言った言葉。


 どうして人の心を大切にできないのだろう。

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戦争・統合失調症は僕の運命を変えた 夕日ゆうや @PT03wing

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