第3話国王、陥落!
「ぅにゃあーー。」
ふむ、どこだここは?周りが真っ暗……あ、そういえば女騎士さんのカバンの中で寝たんだったっけ。とりあえずルーちゃんに聞いてみようかな?
むむむむ……
『やっほーあなたのルーちゃんだよ。』
やっほールーちゃん。ところで今どういう状況?
『真央ちゃんが1日寝てる間にローミリア王国に着いたよ。今日もう王様と謁見らしいね。』
1日も?ていうか王様に謁見ってちょっと早くない?
『それだけローミリア王は真央ちゃんことが気になってるんだよ。多分ミリアちゃんと仲がいいんだろうね、二人とも可愛いもの好きだから。』
ミリアちゃんって誰のこと?
『君を連れてきた女騎士さんのことだよ。ちなみにローミリア王は最近戴冠したばかりの青年でねぇ、ミリアちゃんとは幼馴染なんだよ。』
王様と騎士のラブストーリー……いいね。それよりも王様に会う前に歩きまわりたいなー。
『うーん、いいんじゃないかな!ミリアちゃんとかは焦るだろうけどその方が面白いよ!』
よし、では探検にれっつごー
『あ、ちょっ、もうちょっとお話しt』
「にゃあ」
お、誰もいないみたい。よし、とりあえず誰か帰ってくる前にさっさと脱出だー。
と、思っていた時期が私にもありました。ドアノブが丸くなってて飛びついても手が引っかからないじゃない!
うーーん、諦めて寝ようかなぁ。お日様のいい匂いもするし、だんだん眠く……あ、窓開いてた。れっつごー!
「うにゃっ!?にゃー。」
あ、危なかったーー!!まさか勢いよく窓の外にダイブしたら思ったよりも高さがあって『あ、死んだかも』とか思っちゃった。そりゃ溜息も漏れるってものよ。
でも落ち着いて見てみたら綺麗な町だなぁ。前世の街並みで一番近いのはコルマールとかかな?あ、広場の方で見たことない置物に子供が触ったかと思ったらシャボン玉みたいなのが出てきた。
ものすごくあのシャボン玉に触りたい!これが猫さんの本性なの!?もう体が考えるよりも先に動いてる!
「うにゃーん♪」
『おわ!なんだなんだこの生き物!?バブルを片っ端から壊しってってるぞ!』
「にゃあーん♪」
『んな!?バブル練習で全部のバブルを壊しただとッ!ありゃ訓練した騎士ですら苦戦するんだぞ!?』
「……にゃ!?」
はっ!?気づいたら視界に入るシャボン玉全部割ってしまったわ。
どうしよ、周りが騒がしくなってきちゃった……。
「お前さん一体なんなんだ?俺あお前さんみたいな珍妙な生き物見たことないぞ。」
「おい!誰かヨーゼフ爺さん呼んでこい!さすがにあの爺さんなら何かわかるだろ!」
「にゃ、にゃあ……。」
まずいわね……、これ以上騒ぎが大きくなる前に逃ーげよっと
『あ、逃げてくぞ!誰か追いかけ、って早っ!?』
はぁはぁ、ここまで来れば大丈夫でしょ……まさかあんな大騒ぎになるとは思わなかったわ。これからどうしよう。
『あー!!やっと見つけたぞ!?』
この声は!?
「うにゃー!」
どうやら広場の騒ぎを聞きつけてミリアちゃんが私のこと探し回ってたみたい。
ここで逃げてもよかったんだけど帰り道も覚えてなかったからラッキーね。
「お前、執務室に戻ったらいなくなってるし広場では幻覚魔法にかけられたと民衆が大騒ぎしてるしでとても心配したんだぞ!」
「にゃあー♪なぁー?」
100こっちが悪いから申し訳ないわね……。甘え100%のすりすりで許してー。
「くっ、そんな甘えてきても…………許す!」
「にゃー!」
ちょろい!猫さんの魅力は最強ね。というかミリアちゃんの恰好すごいキラキラしてる?
「これから国王様に謁見するというのに……。いつの間にか私がお前の責任者になっていたからな、お前がいなくなると私も困るのだ。」
「にゃあー。」
あ、そういえば王様に会うって話ルーちゃんがしてたっけ。じゃあこれ正装なのかぁこの格好で町中走らせたのはちょっと申し訳ないなぁ。
…………ま、いっか。
「さて、また逃げ出さないか不安だからな、国王様の元へ行くまでは抱きかかえるぞ。」
「うにゃっ」
ぐえっ、急に抱きかかえたまま動かないでー!
「にゃあーーー!!!」
「もうすぐ国王様の元へ着くぞ。さすがにこのままではまずいからいったん降りてくれ。」
「ぅにゃあ……。」
死ぬかと思ったわ……。恨みを込めて睨んでおこ。
「わ、悪いそう怒らないでくれ!急に降ろしたのが不味かったか!?」
「にゃあ。」
ふーんだ。
「後で美味しいもの御馳走してやるから。」
「にゃあ。」
ふーんだ。もうちょっと何かないのかなぁ?
「うっ、今度この王宮を案内しよう!」
「にゃーん♪」
許すー♪
「ふー。よし、この部屋だ。くれぐれも騒いだりはしないでくれよ?」
「にゃーん。」
私はお淑やかな猫さんだからね、そんなことしないわ。それにしても国王様なのにこんなに王宮の端っこみたいな場所に本当にいるのかしら?
「陛下、近衛騎士がミリアただいま参りました。」
『うむ、入れ。』
「失礼いたします。」
「にゃあー。」
部屋の両脇に本棚、真ん中にソファとそこに座る若い青年。多分この人が国王様かな?一応一礼くらいはしておかないと。
「驚いた、ずいぶんと頭がいいんだな君は。こんな場所ですまないが、私がこのローミリア国の王、ローミリア・クロイルだ。急に呼んですまなかったな。」
なんなんだこの人。見た目は結構若く見えるのに腹の内がなんにも見えない。正直私は苦手なタイプかもしれない。
「今日は私的な会談だ。何も気にせずに楽にするといい。さ、こっちおいで?」
この人こわいよぉ、何考えてるかわかんない。
「おや?ミリア達にはすぐ寄ってきたという話だったが私の元には来てくれないのか……。」
「にゃ!?」
めっちゃわかりやすく落ち込んでる!?
『お、おい!陛下はお前に会うのを結構楽しみにしていたんだ。あれでも可愛いものには目がないのだぞ!』
あ、違った。この人単純に可愛いものに目がないだけだ!考えが見えないんじゃなくて可愛いものを前にして周りが見えてないだけだ!
「…………。ミリア?」
「陛下!?私に言われても……。」
「にゃあー?にゃん♪」
ほらー、王様元気出して―。
「おぉ……。なんと心地の良い手触りなんだ。これは癖になりそうだな。」
「にゃっ。うにゃあー。」
えいっと、膝の上で撫でるからこそ猫さんの魅力は輝くのよ!
「お前!?さすがにそれは……。」
「よいよい、私が許す。むしろ何か言ってくる奴がいたら公爵ですら容赦しないぞ。」
「にゃあー♪」
さっすが王様気前がいいわー。だからもっと撫でてー
「ううむ、これは癖になりそうだ。ミリアも撫でるか?」
「ぜひ!!……い、いえやはり遠慮いたします。」
「よし!決めたぞ、お主この王宮に住むといい。どうせ寝床も決まっていなかったのであろう?お主がいればミリアも頻繁に見に来るだろうよ。」
なんと!?これはかなりありがたい申し出なのでは?
「うにゃ!」
肉球で王様の手をぽむぽむしておっけーって言ってみる。
「おお?これは承認したとみていいのか?」
「にゃあ♪」
「そ、そんな……。」
「なんだミリア?そんなに残念なら頻繁に王宮に来るようにしたらよかろう。前まではよく顔を見せに来たというのに最近は全然来ないからな。」
「い、いやしかし……。」
「にゃあー?」
もう来ないのー?さすがにちょっとそれは寂しいかも。
「う、そんな目で見つめないでくれ。」
「ほれ、お前に来いと言っておるのだ。これからは毎日とは言わないが数日に一回は顔を見せに来い。」
「……陛下のお言葉とあらば。」
「うむ。ではこれから私は政務があるのでな。早急にマオの立場を確立せねば。私の唯一の癒しを逃してなるものか。ミリアはこのまま王宮を案内してやるといい。」
「はっ。では失礼いたします。ほら、お前も一緒に行くぞ。」
「いつでも私の元に来ていいからな?というか一日一回は来てくれ。」
「にゃー♪」
王様も元気でねー
『いやー本来の目的すっかり忘れてそうなのにいい感じなのは流石だね。
……真央ちゃん私のお願い忘れてないよね?』
異世界猫生(いせかいにゃんせい)~猫が存在しない異世界に猫として転生したので猫の魅力で世界征服目指します!~ 歩致 @azidaka-ha
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