第2話 雑な神様とちょろい騎士

 うーーんよく寝た。ここは?

「にゃーん?」

 !!猫さんの声。今私の口から出ていた……。つまり、私猫さんになれたんだ!

「にゃん!にゃあー!!」

 あ、そうだ神様からの手紙があるはず。あれかー、ていうかどうやって手紙なんて読めばいいんだ。わたしにはきゅーとな肉球しかないぞ……。

「にゃあー?にゃ!」

 うぎゃ!手紙に触ったら突然光りやがった!猫にまぶしい光はダメでしょ神様!


『まず、手紙を開けた時に光ったことに文句を言っていそうなあなたへ。(色々略)加護付いてるか試した!ごめんね!!』


 もし加護とやらが付いてなかったらどうなってたのかしら?

 かなり眩しかったのは忘れないでおかないと。


『もし加護がダメだったら私直々に治癒と加護の上書きを行うつもりだったよ。だから許して?前世を知ってるとはいえ猫に嫌われるの結構心にくるんだから!猫にせっかく転生したんだから過去のことにとらわれず自由に生きよう、ね?』


 文字が書き足された?しかし、そういわれると弱いわね。しかたない、恩に免じて許すことにしよう。


『ありがとね。この手紙は私からのメッセージが直接真央ちゃんに届いているからその度に文字が書き足されていくよ。ありていにいうとLINEだね!』


 急にぶっちゃけてきたわね。まさか異世界に来てもその名前を聞くとは思わなかったわ。


『さてと、まずこの世界についてだけれどこの世界は魔法が一般的に広まってて君の知らない常識があるから気を付けてね。あとは、魔法獣って呼ばれてる魔法が使えるモンスターみたいなのもいるからびっくりしないでね。ちなみに真央ちゃんは魔力自体は持ってるんだけど魔法は使うことはできないからそこも注意ね。』


 ふむふむ、この手の話は異世界ものじゃテンプレよね。でもどうして魔法が使えないの?


『別にいじわるじゃないよ!!

 魔法獣ってのはどんなに小さくても危険だから少し大きな町なら魔法獣が入れないように監視装置を置いているんだ。もし真央ちゃんに魔法が使えてしまうと分類的に魔法獣に入っちゃうから使えなくしたの。もちろんもしものときの対策もあるよ!まずは頭の中で自分の姿を見たいと念じてみてよ。』


 うん?自分の姿を見たいって念じるって言われてもあんまりイメージできないけどやってみるしかないわよね……。

「にゃ!?」


 え!?なんかVRゲームのキャラクター画面みたいなのが見える!

 つまりこのニャン太郎そっくりの猫さんが私!?

 目の色だけニャン太郎と違って明るめの緑って感じだけど凄く可愛いじゃない!!


『どうかな?気に入ってくれた?真央ちゃんの好みが分からなかったから私の変身体をそのまま元にしたんだけど。』


 え、通知バー?しかも左の方にすごく見覚えのあるアプリのアイコンがあるし。

 あ、開いたらこれまた見覚えのあるトーク画面ね


『どうー?わかりやすくアイコンまで作ったけどさっきの手紙と中身は一緒だよー。』


 分かりやすいのはありがたいんだけどこれちょっと大丈夫か怖いわね


『大丈夫だよ!神様だし……、多分。まあ、そんなことより!あなたにあげた加護を見てみてよ!』


 加護って言ったってどうやって見るのよ?


『加護って思い浮かべてみてよ。そしたら私特性のステータス画面みたいなのが見れるから。』


 うーん、かごー、籠、可児島ー、加護!


『いらないものが混じってるよ!?なんd

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 名前:マオ LV.10

 種族:ネコ


 生命:100%

 素早さ:猫なめんな!空飛んだくらいで追いつけると思うなよ!!

 力:邪魔なものをどかすくらいなら余裕

 防御:かっちこち。剣で切っても傷1つ付かないよ!

 持久力:全然疲れないよ

 幸運:神が愛してるよ!!


 加護:キャンルーからの寵愛

 >能力見られてもいい感じに見えるから怖がられな

 いよ!

 隠れたら絶対見つからないよ!

 なにかあっても幸運でなんとかなるよ!

 ケガしないとは思うけどしてもすぐ治すよ!

 いつも私が見てるから最悪全てなんとかなる

 よ!!!

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 なんだこれ。説明が雑じゃないかしら?


『もー話してるのに無視するなんてひどいじゃないか。それよりもどうどう?いい感じ?』


 見辛いわね。ステータス画面なのにどれくらい強いのか分からないじゃない。


『うーん、ぶっちゃけて言うと能力なんて決まった指標がないから数字で書いても分かりづらいだけなんだよ。だからこうしたってわけ。』


 ならまぁ、いいわ。それよりもキャンルーの寵愛って、……あなた、キャンルーっていうのね!


『うん、そうだねサラッと受け入れたのはいい事だけどト●ロみたいに言うのやめよっか!?』


 それで?この寵愛ってなに?


『ふふーん、そ・れ・は・ね!私がいつも真央ちゃんを見守ってるってことだよ!!』


 え、ストーカーじゃない。引くわぁ……。


『私の名は女神キャンルー!この世界の創造主にして猫を心の底から欲する神!!気軽にルーちゃんでいいよ☆』


 女神……女神!?女の子だったの!?ていうことは志摩さんが苦笑いしてたのって


『そうだよー。実は私が保健所の人に連れてかれないようにって志麻が色々してくれてたのよー。』


 そう、だったんだ……。この私が猫さんの性別を見誤るなんてッ!


『私は神様だから性別なんてあってないものだよー。一応あっちの世界でもメス猫ではあったけど生殖機能とかはなかったからかもね。』


 そうよね!?ルーちゃんの作りこみが浅かっただけよね!?


『おう……、結構刺してくるじゃない真央ちゃんよう。』


 おあいこってことね。とにかくありがとうねルーちゃん。


『いいんだよ。私のためだから感謝されるようなことじゃないし。』 


 それでもよ。猫さんになりたいって願いを叶えてくれたのはルーちゃんだから。


『ふふ、ならどういたしましてって言っておくね。

 さて、そろそろ時間みたいだよ。真央ちゃんも意識を元に戻すといいよ。意識を戻すときは体に戻りたい―って念じるんだよ。』


 戻る時も割と適当な感じなのね……。戻りたいー、体に戻りたいー。




「にゃ、うにゃー。」

 あ、戻れた。やっぱり視点がこんなに低いとちょっと違和感があるわね。

 ん?なんか遠くの方から足音と話し声が聞こえる。


『先ほどの光はここら辺のはずだったが、なにか周囲に不審なものがないか探せ。未発見の魔法獣の可能性があるぞ。』


『はっ。』


 あールーちゃんの言ってた時間ってこれかぁ。どうしようかなぁ、隠れてもいいんだけどあの人達の国に連れてってくれるんならその方が楽なんだけどなー。あ、最悪逃げればいいのか。近づいてみよっと♪


「何も無いか?あの光は自然に発生するようなものではないはずなのだが……。」


 あ、あれは!?女騎士さんだ!!あ、でも馬に乗ってないし、大きめのカバン持って身軽そうな鎧してるから騎士ではないのかなぁ?

 生のくっころ見てみたいけどなー。それよりここまで近くに来ても気づかないって……あ、ルーちゃんの加護か。


「にゃーん」


「んな!どこから現れた!?」

「にゃーん?」

『鑑定』

「うにゃ!?」


 なんかぞわってした!


「種族……ネコ?聞いたことのない種族だが魔法獣ではないのか。それでもお前が危険な生物である可能性もある。いっそここで……。」


「うにゃー?」

 危険なわけないじゃない。この可愛さよ?


「くっ、かわ……、はっ!いかん、冷静に冷静に。こいつが人に害なす存在だったらどうするんだ!」


「にゃーん♪」

 もう少しで落ちそうねこの騎士さん。

 ほーらすりすり


「く……なんだこの生物を撫でまわしたいという抗いがたい欲求はッ!」


『隊長!こちらの方はとくに異常ありませんでした!』


「はっ……お、おい!この生物を見つけたがどう思う!?」


 ちっ、落としきれなかったわ……


「なんですか?この不思議な生き物は。今まで見た事もありませんが……。」

「そ、そうなのだ。先程鑑定をしたが見たことの無い種族であること以外は普通だった。」


「にゃーーん?」

 喰らえ!上目遣いからのすりすりー


「か、可愛い……!」

「お前だけズルいぞ!私にもっ。」

「隊長!この生き物はもしかしたら未発見の動物の可能性があります!ぜひ国に連れ帰って国王様にお見せしましょう!」


「うにゃーん?」

 どうなのー隊長?


「はうっ、可愛いすぎる……。よし、この動物はこれまで未発見である可能性が高い。よって国内へ連れていき国王様への謁見まで生態を観察するため我らが騎士団本部で預かることにする。」

「はっ!!」

「にゃ〜♪」

 やったーー。ありがとね〜


「よし、お前には少し窮屈だろうがこのカバンの中に入ってくれ。」


「にゃ。」

 しょうがないなー。お、意外とこのカバンのなかい心地がいいぞ?落ち着くぅ……。


「よし、なんとか入ってくれたか。それにしても頭の良い奴だな。まあいい、ひとまず光の調査はやめだ!城へ戻るぞ!」


 とりあえずどっかの国には行けそうだわ。

 ほわぁーこの狭い空間、馬の振動、眠くなってきちゃった……。とりあえず着くまで寝てよっと。

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