異世界猫生(いせかいにゃんせい)~猫が存在しない異世界に猫として転生したので猫の魅力で世界征服目指します!~
歩致
第1話 私、猫になります!
突然ですが私、
きっかけはそう、私が病院で猫への憧れを募らせていたいつもの日のこと。
「はぁーー、なんでこの体はこんなにも弱いかなぁ。かかった病気でカードゲームできるんなら今頃殿堂入りしてるとこだよ。」
私の体はとても弱く、生まれてからほとんど病院通い。自宅に行ったことなんて数えるほどしかない。今もなんか熱っぽい気がするし。
むしろ高校卒業まで生きていることが奇跡みたいなものだったなー。
「あーあ、一回でいいから制服着て学校行きたかったなぁ。学校でいじめっ子に絡まれてぼっこぼこにしたかったなぁ。」
なんか思考が物騒な方向に行っちゃった。やっぱり熱があるのかもしれない。そろそろ志摩さんが来るしその時に言えばいっか。
『にゃーーん』
「猫!!この声はいつも来てくれるニャン太郎!!」
「にゃあー」
ベッドの右側にある窓を見ると一匹の猫がいた。真っ白な毛並みで目が金色の可愛い猫さん。いつの間にか毎日私の病室を窓の外から覗きに来るようになったから毎日話かけていた。
命名は私だけど志摩さんは何故か苦笑いしてた。でもでも呼び続けてたらニャン太郎も答えてくれるようになったからあの子もきっと気に入ってるはず。
猫図鑑は全て読破し、世界中の猫動画を見漁っている私でもニャン太郎の不思議な魅力には勝てない。
「ニャン太郎!今日は遅いから心配したわ。いつもよりも来るのが10分も遅かったじゃない。何かあったの?」
「にゃ。にゃーん。」
「心配してくれているの?確かに熱っぽいけどいつものことよ。」
「にゃーーん!」
「それよりあなたをもっと見せて!!ニャン太郎しか私が実際に見れる猫さんいないのよ!」
「うにゃあー。」
「うーん、あなたを部屋の中に入れて何を言ってるかわかるまで抱きしめながら一緒に寝たいところだけど私が倒れるから無理なのよねぇ。できることなら猫に生まれ変わりたいわね。」
「にゃ!にゃー!!」
ニャン太郎が今まで聞いたことのないくらい大きな声を上げてる。なんでそんなに悲しくて焦っているような声を出しているの?
……あれ?声が出ない。体も動かない。熱のせい?とっても体が熱いわ……それに息が苦しくなって。
「にゃー!!」
「真央ちゃん!?真央ちゃん!!聞こえる!?しっかりして!今先生来るからね!」
志摩さん?どうしてそんなに叫んでいるの?私はちゃんと聞こえてるよ?なんで私の声が聞こえないの?
あれ、目の前に倒れてるのは私だ。どうして私の前で私が倒れてる?……志摩さんとお医者さんが必死に何かを叫んでる。あぁ、私死んじゃったんだ。幽霊ってこんな視点なんだなぁ。
あ、お母さんとお父さんも来た。ごめんね最後まで悲しませて。親孝行も全然できなかったなぁ。
「にゃーーん」
え、ニャン太郎?もしかして私が見えてるの?
「にゃん」
声も聞こえてるの?……まさか、あなたまで一緒に死んでしまったの!?
「違うわよ」
え、誰?今誰か私に話しかけてきたような……
「私よ、真央ちゃんがニャン太郎って名付けてくれた猫さんよ」
え、ニャン太郎がしゃべった!?ニャン太郎喋れたの?
「うーん、どこから話そうかしら……。まず私の声が聞こえるのは真央ちゃんが不幸にも死んでしまったからよ。」
やっぱり私は死んでしまったのね。
ならほかの猫さんたちともお話ができるようになっているのかしら!
「それは残念ながら無理ね。私が真央ちゃんとお話できるのは私が特別だからよ。」
特別?ってどういうことなの。
「率直に伝えると私は別の世界の神様なのさ。」
神様?神様ってあの神様のこと?上司とか奥さんのことをお上とかおかみさんと言ってるのとは別の?
「なんか変な候補出してきたわね……。正真正銘私は世界を作り出した神よ!!」
そう、それで神様が私になんのようなの?天国への案内は天使がするものだと思っていたのだけれど。
「ずばり!真央ちゃんには私の世界に転生して欲しくて声をかけたんだよ。」
転生?よく聞くわね異世界でチートがどうのこうのって……。神なんかがそんなことできるのかずっと疑問だっのだけど本当にあるのねそんなこと。
「神なんかって言った!?もっと
これでもあなたには驚いているのよこんなにも可愛らしい猫さんになりきるなんて。羨ましいわ
「そうでしょー私猫が一番好きなのよ。この世界に来るときも必ず猫になろうと決めて頑張ったんだから!」
あなたも猫さんが好きなの!?やっぱり異世界にも猫さんはいるのかしら……もしかして私の知らない猫さんもたくさん!
「それが私の世界には猫とそれに近い生命が全くいないのよ……。そこで、真央ちゃんに声をかけたのよ!」
?なにがそこでなのかしら。
「真央ちゃんには私の世界で猫という存在になって転生して欲しいのよ。真央ちゃんを選んだ理由はたまたま異常なほど猫への執着持ってる子見つけたからだよ!」
……猫さんになれる、の? ほんとに?
「う、うん。本当だよ?神に二言はないよ!」
私が、猫さんに、なれる……!?
病気でろくに外の世界を見れない私は自由に外を歩き回る猫さんに憧れていた。一目で猫さんの種類が分かるくらい図鑑を見た。でも、本当に猫さんになれるなんて思ってもみなかった。
私、猫さんになりたい!!!
「よかったー、これで一安心。とりあえず目的だけは聞いてくれる?」
ええ、猫さんになれるのならなんだっていいわ!
「まず、真央ちゃんには猫の魅力を世界中に広めてほしいの!」
今更だけど、私一人だけを神様の世界に送るの?そしたら神様の世界に行ったところで猫さんは増えないと思うのだけれど。
「その点は問題ないよー。この世界もそうだけど、世界には人々が心の奥底で願ったこととか恐れたことを具現化する力があるの。」
うん?つまり猫さんになりたいって私が願ったらなれてたかもしれないってこと?
「あなた一人じゃ無理ね。この世界なら人々の願いが集まってできた文明の火である科学と科学では勝てない幽霊がその一例だよ。」
神様の世界でもおんなじことが起こせるってこと?
「うん、少し違うところはあるけどほとんど同じね。私の世界では人々は神秘の火を求めたが故に魔法が生まれ、神秘の敗北への恐れから魔王が誕生したの。」
魔王?本当に小説みたいになっているのね。もしかして異世界転生とか異世界召喚とかもあったのかしら?
「さすがに他の世界に迷惑かけたら怒られるのは私だからそういうのは防いでいたんだけど……。あいつら何度も懲りずに倒せるはずのない魔王を倒そうとしてるのよ。そのせいで何度も文明が滅びて、ここみたいに発達してるとはとても言えないよ。」
そうなんだ、神様も大変なんだね。で、説明は終わりかしら?私はやく猫さんになりたいのだけれど。
「もうちょっとだけだから聞いてよ!ずばり真央ちゃんには猫という存在を世界中の人間が欲するようにして、猫って種族を生み出して欲しいんだよ。」
わかったわ。じゃあ送って今すぐ送って。はりー!猫さんに早く!!
「ちょっと禁断症状が出かかってるわよ!もうほとんど話も聞こえてないみたいだしもう送るね。」
ちゃんと聞いていたわ。猫の魅力で世界征服しちゃえばいいんでしょ!
まかせてよ。猫の魅力に勝てる存在は無いわ。
「私の全力で100年は自由に生きれるくらいに真央ちゃんを護るから安心してねー。」
100年も猫さんになっていられるの!?ぜひお願い!
「うん、それに100年を超えても真央ちゃんが望んだらもっと生きていられるようにしてあげるよ。じゃあ、私の世界で思う存分楽しんでね!」
うん、ありがとう神様!また神様の世界でも会える?
「もちろん!!」
『ニャン太郎ごめんね……あなたが必死に伝えてくれたのに。真央ちゃん亡くなっちゃったよ……。』
「にゃーん。(本人があれだけ喜んでたし志麻もあまり思い悩まないでね。)」
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