追加エピソード

改稿ほぼ終えてのメモ


今回の改稿では、明確なログライン(話の大筋みたいなもの?)を優先することを意識しました。

まず既存の欠点として、説教くさい部分、AIのマイナーなネタすぎて普通は興味が持てない部分、自分には関係ねーわと思われる部分、大量にあることに気づきました。

しかし、ログラインとしては「野心家の白人男性が、みんながやめろやめろ言ってるのに突っ走って、かなり成功するが、やべー思想に至ったあげく破滅する」という風に要約できます。

意外とそういう映画はあると思います。ディカプリオとかが主演のやつです。

そこだけを強調するような追加描写を入れました。

細部はどうあれ、そういう流れは成立しているんじゃないでしょうか。


結局、今回追加した部分で一番面白かったのは「19世紀のLLM、素材が古いとシェイクスピアみたいな喋り方する」というところでしょう。

一般受けしそうなのはここしかありません。

むしろ、みんなこういう部分が読みたくて読んでるんじゃないかな。19世紀のAIだよって言われて期待するのはそういう話であって、著作権どうこうじゃないんじゃないかな。

あとはシンギュラリティ=千年王国みたいな部分も少し楽しいかもしれません。でも、長くなるのであまり深くは追求しませんでした。


あとは一番気になるのはエステラパートです。

改稿前は「パーティーで喧嘩別れ」「泥棒再開」「エステラにlora見せたら怒る」の間隔が狭く連続しているので、怒ってるのがわかりやすかったと思うのですけど、

改稿後は間にクールダウンを入れ過ぎて、なんで怒ってるの?と思われるかもしれない。一度絵画から言語に話題が移っていますから。

改稿前は全部短くて勢いがあったので怒ってるよということを伝えればよかったけど、今は理屈の文章を増やし過ぎたので、エステラも理屈で喋らないとバランスが悪くなった。

というか、勢いが消されて不自然かも。

フィルがやべー発想に至って、かなり傲慢なことを言いだす描写を入れて、「これは怒られてもしかたないわ」っていう雰囲気を作っておいたけど。

それでも、変かもしれない。わからない。改稿前からちょっと変だった。

ペルセポネーがどうとか変えたほうがいいかも。メアリー・シェリーとか、突然古い何かを引用してくると古さが出るかと思うのですが。

追加した、エステラが最終的に理屈で殴ってくることでフィルがボロクソに論破されるシーンはちょっとよかったと思います。論破になっているかは不確定ですけど。

積み上げてきたものが滅茶苦茶になるシーンは一般的に良いと思う。でも、あまりにもノイズが多くて楽しんでもらえないかも。




とにかく、細部がどうあれ、AIに関する主張がどうあれ、話の大筋がちゃんと落ちていればいいんじゃないかということです。

「やべー男の成功と破滅」というストーリーだけは感じてもらえるようにしたかった。

自分の前の作品「持続可能な吸血」とかには、それがありませんでした。一言で説明する筋がありませんでした。

主人公はどう成長したのか、どう変わったのか、他のキャラとの関係性は一言でいうとどうなったのか。今作では、止めようとしてくるやつと本気で止めようとしてくるやつの二種類しかいません。泥棒は応援してきます。



あとはディケンズの原作を元ネタにしてるのに作中にディケンズが出てくるというメタネタみたいなのは、おまけなので特に評価されないでしょう。


AI関係の説明より、そういった19世紀の文化描写を増やしたほうが、歴史改変SF感が出てよかっただろうけど、そこまでのバランスにはなってない。まだ現代のAIについて語ってるだけ感が強い。


2-2 +3の標語みたいな部分は、オーウェルの1984のパロディです。

フィルがいきなりダブルシンクとニュースピークを使用しはじめます。

これも元ネタ伝わらないとつまらないパートで、あまりよくないです。


まあこんなにがんばって改稿してもまた落ちるんかなと思うと虚無ですが

それでも、何度も言うようにシェイクスピアパートとかはシンプルに自分が楽しいのでお得でした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

大いなる養蜂家(公募中につき非公開) 廉価 @rncl

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ