真夏の夜の囁きに

@ramia294

  

 真夏の空。

 ギラギラの太陽。


 眩し過ぎる光を浴びる黒いパネル。

 僕の家、

 屋根の上の太陽光パネル。


 今日も休まず、せっせと発電を続けます。

 生み出した電気で、

 お部屋を冷房。

 テレビを映し、

 お洗濯に、

 お湯まで沸かします。


 太陽光パネルは、

 魔法使い?



 オール電化の僕の家。

 いつもお世話になっている僕の家の屋根。


 屋根の上のソーラーパネル。


 星降る夜。

 夜に発電はしません。

 パネルさんは、お休み中。


 お休み中?

 ぐっすり寝ているの?


 受験生の僕の悪戯心。


 つい、悪戯心の疼いた僕は、


 お眠り中のソーラーパネルに、

 安眠妨害を。


 屋根の上。

 まだ蒸し暑く、重い風。

 でも、昼間よりも、チョッピリ涼しく、

 星と月のお喋りで、

 空は、思っているよりも、賑やかです。


「あら、珍しい。屋根の上は危ないから、気をつけるのよ」


 誰かが声をかけてきました。

 見回しても、屋根の上。

 誰の姿も見当たりません。

 猫も、カラスも、グッスリと、

 今夜は、既に夢の中。


 ソーラーパネルが、僕に。

 話しかけてくれた様です。


「眠っていたんじゃ、なかったの?」


 僕が、ソーラーパネルにたずねます。


「だって、ほら。昼間は、お日さまが、頑張ってギラギラ。私は、お仕事をガンガン。でもお日さまが山の向こうへ消えてしまうと、夜空はこんなに綺麗。月は、私を見つけると辿ってきた地球の裏側のお話をしてくれますし、星は、星座のお仲間と毎夜の様にお喋りに花を咲かせます。楽しくて、眠ってなんていられません」


 それから、僕も毎夜の様に、屋根の上で、星たちのお喋りや月のお話を楽しみました。


 満月の夜、

 明るく照らす光を浴びる、

 僕とソーラーパネル。


 流れ星の多いその夜。

 星たちは、宇宙へと僕たちを誘います。

 夜空の仲間たちの元へ飛び出す、

 僕たち。


 ソーラーパネルは、屋根を離れ

 魔法の絨毯?

 いえ、魔法のソーラーパネルへ。

 そして、

 その上の僕。


 ひときわ強く輝く、

 月の光。

 その道を辿る。


 月の光を

 空飛ぶエネルギーに変え、

 雲の上へ

 さらに宇宙へと

 飛んでいきます。


 宇宙で待つのは、

 星の仲間。


 地球に落ちなかった星の仲間と

 僕たちは、


 この世の

 すべての謎を

 封じ込めているという、

 巨大なブラックホールへと、

 向かいます。


 星々の瞬く、

 光を少しづつ頂きながら、

 僕たちは、巨大ブラックホールへ。


 その場所には、

 かつて、謎の答えを求め、

 近付きすぎ、

 封印されてしまった、

 宇宙一美しいお姫様が、


 一週間後。


 僕たちは、

 宇宙一の謎を解き、

 宇宙一のお姫様を

 無事解放。


 半年後。


 僕は、無事大学生に。

 お姫様は、恋人に。


 それでも、

 夜が来るたび、

 ソーラーパネルとお姫様と一緒に、

 宇宙の冒険へ、

 宇宙の謎を求め、

 出かけています。


 夜の冒険のため、

 お昼には、少々お疲れ気味のソーラーパネル。

 発電量が、下がります。


 我が家の光熱費が、

 少し上がり……。


 オール電化の我が家の財政、

 危機一髪。


         おわり



 





 


 

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