別れと後悔

4月10日 日曜日 午前10時00分


助手席に座っている昨日までルイという仮名だった相棒は「もったいねー俺さお前に絶対お似合いだと思ったんだけどなー」と呟いていたが職業病で好きになれないんだと説明する。心の中で彼女とこの町に「来世で会おう」と誓いそして謝った。信号は青に変わる。


同時刻


待ち合わせ場所はいつも通りモダンなガス灯をイメージしたこの町では有名な街灯の下だ。それにしても遅い。いつもは彼が先についているのに、私は連絡をしたが「おかけになった電話番号は現在問扱いされていませんもう一度確認してください」という音声のみだった。


ふと街灯を見ると紙切れが貼ってあった。私は震える手で紙切れを開く。


僕が渡した花束はすべて道端で摘んだ雑草です。レンゲ、アカツメクサ、ハルジオン、オオアラセイトウ、オニタビラコ。1輪の花でいいから貰えるような人になってください。僕たちのようにならないできちんと罪を償って


嫌な予感がして口座を見る。


私はなんて世界で生きているんだと実感した。


口座からは35万円取られていた。


滲んだ視界に包まれる。彼に対してなのか、はたまた自分の惨めさになのか私は分からなかった。


警察にお世話になれない私は自分の人生を恨んだ。名前も知らないあの人と共に。

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雑草さえも花束に 四季式部 @sikisikibu

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