復讐劇

今日は雪が降っている。待ち合わせ場所はいつも通りモダンなガス灯をイメージしたこの町では有名な街灯の下だ。遠くから感じる彼の視線が痛かったが、彼女は「会いたかったよー」と駆け寄ってきた。


今日は彼女を一段と知るつもりだ。


すこしおしゃれなレストランで僕は写真を見せる。こいつ友達なんだけど…面白おかしく話を誇張して彼を紹介する。計画がバレないように慎重にだ。


写真を見た瞬間彼女は目を大きくさせた。


「ごめんなさい」「よっ」ほぼ同時だった。僕は「へ?」となっていた。頭を下げていた彼女が「ルイ君いたんだ」と言ってルイにも謝った。友達の女子と来たら偶然会ったと装うルイは「うん」と返事をする。結局ルイの作戦なんてバレたわけだ。


女子を帰らせて僕たち三人で話をする。


彼女の言い分はこうだった。最初は僕をターゲットに詐欺しようとしていたが本当に楽しくて恋をしたんだと。


僕は笑って「僕は一目惚れしたのにな」と言った。彼女は申し訳なさそうに縮こまった。


ルイは「あの時俺から盗んだお金は」と言うと「必ず返します」と謝った。


一件落着した僕たちはルイと別れ二人で歩いていた。15万円は僕が払うよ。彼女と親友の問題だから、ここで払わないでいつ役に立つんだと説得させた。


彼女から口座番号を聞き、今持っている5万円を振り込んだ。今日は節分かなんて考えていた。


土曜日。いつもより暖かい。3月も終わりを告げたのかなんて考えていた。彼女に手を振る。久しぶりと最近の話をした。「あの5万円ありがとうございました」お辞儀をする彼女は「あと10万はもうちょっと待ってて」と言った僕を抱きしめた。


ルイはいい人見つけたなと手のひらを返していた。もうすぐ僕たちは卒業を迎える。そう考えながらラーメンを食べていた。


卒業式当日に彼女はおめでとうとケーキを作ってくれた。


僕も今日はプレゼントがある。そういうと花束を渡した。「わー綺麗ね」とても目を輝かせるので笑ってしまった。


そんなに?と聞く僕にとてもうれしいと彼女は喜んでくれた。じゃあ10日にいつもの所でと帰路に就いた。


彼女に「バイバイ」を告げ僕はまた、仮面を外した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る