#3【vstreamer準備中】なんだこの世界は

ユキに言われてから私はgootubeで

V配信を見たり調べたりしていた。


何人か見ていると次第に

チャンネル登録者が少ないチャンネルも

検索結果に上がるようになってきた。


あとはライブ配信中には、同時接続数

というものもあることを知った。

つまり同時に何人その配信を

見ているかという数字である。


「かわいい声だな。」

素直にそう思う女の子がゴロゴロいる。

チャンネル登録者数百人あたりを見ても

数十万人ランク帯を見てもこのへんの

感想は変わらなかった。


この世界に私が足を踏み入れて

キャピキャピ(死語)しているのを

想像しただけで何故か鳥肌がスタンディング。


今からでも断れるだろうか。

でも私の脳内には楽しそうに

私のことを考えながら私の

モデルとやらを作るユキの

顔が浮かんでは消えていた。


唯一の友達。

会えば皮肉を言ってしまうが

彼女を悲しませるやつがいたら

とことん社会的に抹殺する気概は

持ち合わせているつもりだ。


それは自分も同じだった。

彼女を悲しませることはできない。


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カッカッカッ

(確かにゲーム配信はゲームがきっかけで配信を開く人がいそうだから有りっちゃ有り)


カッカッカッ

(けどゲームには一般の配信者、攻略、RTAとかジャンルが多岐に渡るって言ってたな昨日見た動画で)


カッカッカッ...

(Vの体も画面で小さくなるし、そもそも話したいおっさんが大多数を占めるアニメキャバクラでいくならゲームはむしろ邪魔になる)


「せんせー今日静かじゃね?」

「大して聞いてねぇんだから変わんねぇだろ」


...

!?

しまった!!

「えーなにいまのww

せんせー口調どーしたんww」


キーンコーンカーンコーン

「あ、はいじゃあ今日はここまで」


やばいミスった。

考えごとに没頭して素が出てしまった。

勤続9年目にして初めての大失態だ。


自分でも驚くほどVのことばかり

考えている。


もともと調べたりすることは

嫌いではなかったが、ここまで

自ら娯楽に前のめりになっている

ことにびっくりした。


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雑談だな。

雑談でいかに惹くかだ。

下手でいいんだむしろバカでいい。


しかし雑談じゃフックがよわい。

新規の流入は期待できない。

無視名の席に座れるキャバクラのが

楽じゃないか。


配信を開かせなくちゃ

話にならないな。


かといってクセが強すぎるのも

飽きが早いからダメだな。

健康器具なんかは典型的だ。

つかきもすぎる。


なんてことを考えながら

配信を渡り歩いていたら

泣きじゃくりながら視聴者に

感謝を述べているV女子の配信に

行き着いた。


しきりにありがとうや

みんなのおかげ

辛かったけどがんばれた

これからもよろしくなど

泣きながら謝辞を述べる配信者に

私は足を、目を留める。


良く見たらたかが1000人を超えた配信者だ

活動期間は3年ほど

なんてことない雑談とゲーム配信


彼女も彼女なりに辛かったのだろうが

戦略が無かったのではないか?


...?

手の甲に雫がぽつりと落ちて

私は目線をスマホから手に移す。


泣いている。

私は泣きじゃくっているVの配信を

見ながら泣いている私がいた。


なぜ。

何が私の感情が揺れる。

わからない。


いやわからないふりかもしれない。

私の無意識がわからないふりをしたので

私もわからないふりをキメた。


気がついたら時計は

午前2時をささやかにアピールしている。


もうこんな時間が。

帰ってからごはんも食べずに

調査に没頭していた。


ヴーヴー。

こんな時間に通知が?


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やほーおはよー🎉


モデルの下絵だけできたから

送るよー我ながらかわいい💕

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まだおきてるぞ。

こういう細かい気遣いができる

とこもユキのいいところだ。


「可愛すぎるだろ...。」

そこにはメッセージと一緒に

明るい薄紫を基調とした

かわいいし上品かつどこか

いたずらが好きそうな女の子の

モデルの画像が添付されていた。



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【初見】芋が始める配信業【Vstreamer/やってみた/新人V】 @abarai

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