第32話

さすがに、ゲームをするたびに建物を壊していたら資金が尽きてしまう。

そのかわりとびきり高性能で大きなスピーカーを設置してあるから、音を聞けば誰もが近くで爆発が起こったのだと勘違いする。

建物が揺れるほどの大音量だから、余計に信じてしまうのだ。


「爆弾の準備はできてる。さて、じゃあ次のグループ行きますか」

男は舌なめずりをしてモニターへ視線を向ける。

部屋の中に担ぎ込まれた、今度の6人が目を覚ます。


隣にいる人物に気がつき、肩を揺さぶり、声をかける。

ポケットをさぐってスマホを含める私物がなにもないことに気がつき、青ざめ、出口を探す。

いつもの光景だ。


「さぁ、相思相愛です。げーむのはじまりだ!」

男は声高に言うと、各部屋のモニターの電源を入れたのだった。



END

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相思相愛です。げーむ 西羽咲 花月 @katsuki03

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