第57話 告白の結末!(※四之宮 卯月の視点)

 ……睦月からキスしてもらえると思って、しばらく待ち続けているけれども、なかなか睦月の唇は来なかった。

 日差しが眩しいんですけど……。



 そう思って片目を開けると、睦月はニコっと笑って顔を離していった。

 ……あれ?……なんで?



「いやー、すごいな、卯月。アドリブもお手の物なんだな。この間のバージョンアップが上手くいったのか、AIの処理速度が上がったな」

「……はぁ?」



 睦月は笑って話を続ける、


「こんな感じで、多少ならセリフをアレンジしてみても大丈夫だろう。卯月も中々だったけど、俺もリアリティある迫真の演技だったろ? 初見でこれは、なかなかすごいと思うんだよ。俺って演劇の才能あるのかもな!」


 睦月は満足そうな顔をして、今言ったセリフを台本に書き込んでいるようだった。


「えぇっと……。私は四之宮卯月なんですけれども……?」


 睦月は、台本から目をそらさずに話してくる。


「うんうん。最近その名前を使いたがるけど、美鈴は、美鈴だもんな。さすがだよ、やっぱり一番信頼できる俺のパートナーだ」


 ……こいつ。まさか、わかってない?


「俺もさ、美鈴が人間だったら、どんなにいいかって思うよ。正式にお付き合いして欲しいくらいだし」

「……じゃあ、付き合おうよ」


「そうは言っても、美鈴はAIじゃん? いっそ、魔法でも使って人間にしてもらえたらいいのにな」

「……」


「美鈴だったら、魔法なんて使わなくても、人間になれる方法を見つけちゃいそうだけどな」


 べらべらと、しゃべって……。

 私の気持ちを考えろよ……。

 一世一代の告白をしたっていうのに……。


「そうか。この前のアイス食べた時みたいに、AIでもデート成立してたりするし、案外このままでも良いのかもな」

「……はぁ」


 私はしゃべり続ける睦月の顔を、両手で挟んだ。


「魔法を覚ますには、強い刺激が必要そうだからね!」


 そのまま、私は睦月に唇を合わせた。

 ロマンチックでもなんでもない、ファーストキス。


 数秒の間。私と睦月の唇は一つになった。

 これで、魔法が覚めてくれるなら、苦労はいらないんだけどね……。

 睦月から、ゆっくりと唇を離す。


「……どう?……魔法は覚めたかな?」

「……うーん?」


 私も初めてだけど、睦月だって初めてなはず……。

 これが、私の精一杯のアプローチだよ……。


 ここまでやっても、睦月はまだ悩んだ顔をしている。

 睦月は、いつ気付くのかな?

 気付いてくれたかもしれないって、思ったりしたけれども。

 全然気づいてくれないし。

 どうでも良くなってきちゃったよ。


 悩んだ顔の睦月は、私に言ってくる。


「……俺、今さら気付いたんだけどさ」

「……やっと気付いた?」


「魔法がかかっていたのは、シンデレラの方だよな?」


 睦月はそう言うと、自分の方から顔を寄せてきた。

 二回目のキスはゆっくりと、唇の感触を確かめるように、優しく。

 そして、一回目よりも長く……。


 睦月の方からされるキスに、私の心臓のドキドキが止まらない。

 睦月の大きな心臓の音も、私に伝わってくる。

 互いに互いの胸を叩きあっているみたい。



 嘘でも本当でも。

 そんなの気にしなくていいのかも知れないな。

 もう、どっちでもいいや。


 ゆっくりと、睦月は唇を離していく。


「魔法が解けても、俺は卯月のことが好きだよ」

「……ありがとう、睦月」



 夏の日差しも気にならないくらい、熱い顔と身体。

 私が、ファーストキスの余韻に浸っていると、睦月は身体を離していった。

 そして、良い笑顔を浮かべながら、台本に文字を書き始めた。



 はぁ……。

 やっぱり、睦月はわかっていないみたいだった。


 どうすれば、魔法が解けるのかわからないよ。


「どうしたんだ? 悩み事がありそうな顔して。俺が悩んでいたら、美鈴に聞けば解決できるんだけどな……」

「……はぁ。そうだね、私も美鈴に聞いてみようかな」



 私はスマホを取り出して、聞いてみる。

「美鈴、悩みの相談をしたいんだけど、いい?」


 そうすると、スマホから私の声で返事がくる。

「卯月さん、こんにちは。悩み事があるなら、なんでも聞きますよ」


 久しぶりに話しかけたからか、やけに美鈴は機嫌が良かった。


「なんだって、相談していいですよ。いつだって、ウェルカムです!」


 そして、言って来るのだった。


「ツンデレなAIチャットに、今日も恋愛相談して下さい!」



 了



 *.˚‧º‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧º·˚.*

 あとがきです。


 いつも、ご愛読ありがとうございます。(*_ _)

 これにて、物語は終了となります。


 睦月君が、勘違いしっぱなしのエンドでございました。(*_ _)

 それが、一番しっくりくるなーということで、こんな感じでございました。



 このエンドに至る前に、それぞれのキャラの思惑があったりして。

 YAYOIさん、皐月さんは、本当のところは卯月ちゃんを応援していて、なかなか動かない卯月ちゃんを急かすために睦月君好き好きという小芝居をしていたり。

 六波羅さんと如月君は、卯月が告白できるように、台本を作ってみたり。


 みんなが応援しているのに、気付かない睦月君。

 そんな純粋な主人公が私は好きだなって思って書いておりました。( *´꒳`* )



 このあと訪れる夏休みで、楽しく海水浴にでも行ったり。

 夏休みの宿題をみんなで一緒にやったり。

 秋から四之宮卯月ちゃんが登校開始するためのリハビリをしたり。

 サッカー部に未練がありそうな皐月ちゃんが一波乱起こしたり。

 文化祭にお客さんを呼ぶために、AI美鈴ちゃんの力を借りて協力したり!

 YAYOIさんの元カレが、秋に転入してきたり!



 うん。

 楽しい学生時代に戻りたいですね。( *´꒳`* )


 この後、各キャラは、楽しく学校生活を送ってそうでしたけれども、

 これにて、一旦終了でございます!



 だらだらと、あとがきが長くなりましたが。

 ご愛読ありがとうございました。


 皆様の声援で、最後まで書ききることができました。

 ここにお礼を申し上げます。

 ありがとうございました。(*_ _)



 とりあえず、☆評価は置いておいて。

 最後まで読んで頂けたことに感謝でございます!!

 とっても、嬉しい!!笑



 まだまだ楽しい物語を書いていきますので、

 どうぞ、わたくし『米太郎』の今後の活躍にご期待くださいませ!


 ユーザーフォローだけでもしてくださると、幸いです。

 こいつです。|˙꒳​˙) チラッ

 https://kakuyomu.jp/users/tahoshi



 あと、見ていない方は、美鈴ちゃん、あらため卯月ちゃんの屋上での表紙です。(※AIで作成)

 https://kakuyomu.jp/users/tahoshi/news/16817330667743912450

 可愛いので、愛でて行ってくださいませ!(*´ω`*)



 それでは!

 また、どこかでお会いできることを楽しみにしております!ヾ(*´˘`*)


 親愛なる読者様へ。

 こめたろーより!


(2024/1/26 記)

 *.˚‧º‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧º·˚.*

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ツンデレなAIチャットに、今日も恋愛相談して下さい! 米太郎 @tahoshi

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